原油価格の上昇と「人々の意識」
実際、グッチやカルティエなど海外の高級ブランドも8月以降、国内外の価格差を是正するため、相次ぎ商品を値下げしている。
総務省が8月26日に発表した7月の全国消費者物価指数(CPI)は、値動きの激しい生鮮食品を除くと99.6と、前年同月より0.5%下落した。下落幅は2013年3月以来、3年4か月ぶりの大きさとなった。
もちろん、CPIの数字自体については、原油価格(NY市場の指標であるWTIの場合)が2016年1、2月の1バレル=30ドル近辺を底に、足元は40ドル台半ばまで戻しており、「今後、現状レベルで推移すれば年明けにはエネルギー価格もプラスに浮上し、物価全体を押し下げる効果が消え、CPIもプラスに転じる」(内閣府関係者)との見方が多い。
とはいえ、問題は人々の意識。エコノミストからは「円高をうけた生活用品や食品の値下げが今後、本格化してくる可能性があり、先行き、物価が上がらないと思えば消費が抑えられ、一段と物価下押し圧が強まる悪循環に陥り、デフレに逆戻りしかねない」との声が聞こえる。