無料通話ができるメッセージアプリのLINEは、MVNO事業(仮想移動体通信事業者)で激戦の格安スマホ市場に参入する。新たに基本料金月額500円(税別)からの「格安」の「LINEモバイル」の提供を開始する。最安のプランはほぼLINEにのみ機能を絞る強気の販売戦略だ。
LINEは2016年9月5日14時から、Webサイトで2万契約限定の先行販売を開始。SIMカードが手元に届けば、手持ちの携帯端末で利用できる。本格販売は10月1日からの予定で、当面はインターネットでの販売だが、「ユーザーの声を聴きながら、状況にあわせて販売店にも進出していきたい」(LINEモバイルの嘉戸彩乃社長)という。
「日本ではまだ半分の人が利用していない」
LINEは全世界で2億2000万人、日本でも6200万人が利用している。今回は日本での販売となる。
LINEモバイルは、NTTドコモの通信回線を利用する。LINE、Facebook、Twitterのデータ通信量をカウントせず、無料でいくらでも利用できるのが特徴で、プランは2つ。
ひとつが月額500円からの「LINEフリー」。「LINE」での通話・トーク(画像や動画のやり取りも含む)が使い放題で、LINE以外の通信も1GBついている。スマートフォンのエントリーユーザーやライトユーザー向けのプランだ。
また、LINEアカウントの新規作成にあたって、通常は必要とされるFacebook認証やSMS認証を必要とせずに、簡単にLINEでのコミュニケーションを開始することができる、としている。
もう一つが、「コミュニケーションフリー」プラン。月額1100円から3GBから10GBまでデータ容量を選べて、電話を含むLINE機能に加え、FacebookとTwitterのデータ通信も使い放題となる。音楽やゲーム、動画などのヘビーユーザーに対応し、つながらないストレスがなくコミュニケーションできるとしている。
それぞれ、SMS(ショートメッセージ・サービス)や音声通話の有無、データ容量などのユーザーの利用状況にあわせて多くのプランを用意した。
LINEは2016年9月5日の発表会で、舛田淳取締役CSMO(最高戦略・マーケティング責任者)とLINEモバイルの嘉戸彩乃社長が登壇。舛田CMOは、「スマートフォンは生活になくてはならないものになった半面、日本ではまだ半分の人が利用していない」と、まだまだ成長するマーケットであるとしたうえで、「利用料金とサービス内容のミスマッチから、料金設定に不満をもっている人は少なくない。こうした不満を解消し、ただ安いだけではなく、ユーザーの利用状況に応じて利用料金が選択可能な最適な価格を実現する」と強調した。
また、MVNO事業への参入にあたり、新たに設立した子会社のLINEモバイルの嘉戸彩乃社長は、「スマートフォンは、家族や友人とのコミュニケーションになくてはならないツール。利用シーンにあわせたフリープランを用意することで、ユーザーとモバイルの付き合い方を変えていきたい」と意気込みを語った。
次のステップは、LINE MUSICの「カウントフリー」
LINEモバイルは、利用開始月の基本利用料は無料とし、データ容量が足りなくなったときには0.5GB・500円から追加購入できるとしている。余ったデータ容量は翌月末まで繰り越しできるほか、付加サービスとして、フィルタリングサービスの無償提供や「LINEモバイル」ユーザーのあいだで、余ったデータ容量を送りあうことができるデータプレゼント、公式アカウントを利用したカスタマーサポートなども提供する。
SIMカードのみの契約に加え、LINE MOBILEの利用設定を済ませたSIMフリー端末も販売する。提供するのは「AQUOS mini SH‐M03」や「arrows M03」「ASUS ZenPad 7.0」など、1万円台のエントリーモデルから最新の防水モデルまで幅広く、8機種・19バリエーションをそろえた。
料金の支払いは、クレジットカードやLINE Payも選択できる。また、月額基本料金の1%が「LINEポイント」として貯まる。
LINEは、今回のサービスを「LINE MOBILE 1.0」としてコミュニケーションに焦点を当てたが、今後について、舛田CMOは「利用者の声に応じて、どんどん変化していってほしい」と話した。
近年、スマートフォンの性能向上と通信環境の高速化や大容量化に伴い、動画や音楽・音声などコンテンツが広がり、とくに若者層ではデータ通信料が負担が大きくなっている。「LINEモバイル」は次のステップとして、音楽などもデータ通信量に加算しない「カウントフリー」に含む予定という。