東京の地下音楽シーンで20年にわたり活動を続けていたテクノ歌手の「テクマ!」(本名・近藤伊久麿)さんが2016年8月31日、心不全により亡くなった。年齢は非公表。公式ツイッターアカウントで9月2日に発表された。
テクマ!さんは1996年に音楽活動を開始。ニューウェイブと歌謡曲を融合させた、独自の世界観を持つサウンドが特徴。影響を受けたアーティストとして、「YMO」「デヴィッド・ボウイ」「美輪明宏」の名前を挙げていた。
綾小路翔、志摩遼平さんらアーティストが追悼コメント
テクマ!さんは、東京の地下音楽シーンで活動していたソロアーティスト。3枚のアルバムを発表していたほか、2012年には自身初のベスト盤「CDでベスト盤を出すハンサムは私だ。」をリリース。高円寺や下北沢のライブハウスを中心に、精力的にステージをこなしていた。9月17日・18日にも、「秋葉原CLUB GOODMAN」の20周年記念公演に出演予定だった。
突然の訃報を受け、テクマ!さんと親交のあったアーティストは追悼のコメントをツイッターに寄せた。「氣志團」の綾小路翔さんは2日、テクマ!さんが愛用していた「○○なハンサムは私だ」というフレーズを引き合いに、
「ハンサムな友達を失ったのは私だ。地球の顔面偏差値下げてんじゃねーよ」
と追悼。「ハンサムは良くも悪くもずっとアホでピュアなまま人生を全うしましたね...。今ただ、寂しいです」と悲しみをつづった。
また、「ドレスコーズ」の志磨遼平さんも同日、「今日なぜか突然テクマ!さんの話になったんだよな。ちらっと寄ってくれたんならうれしいす。あなたは素敵でした、おやすみなさい」と偲んだほか、「撃鉄」の天野ジョージさんも「下北沢の顔面偏差値を上げたハンサムは私だ。テクマさんのご冥福をお祈りします」とコメントした。
一般の音楽ファンからも、ツイッターやネット掲示板には
「ショック大きすぎる。ご冥福をお祈りします」
「慌ただしくて、テクマさんのこと今知った...動揺が止まらない...」
「長く音楽活動やってた人だから対バンした人もバンドマンには多かろう
と驚きと悲しみを表す声が相次いで寄せられていた。
「今日初めて知りました」
こうした追悼コメントが集まる一方で、ネット上には「誰なのか全く知らない」「どちら様でしょう」といった投稿も相次いだ。
実際、テクマ!さんの訃報を伝えた「音楽ナタリー」の記事は「Yahoo!ニュース」のアクセスランキング(総合)で一時2位になっていたが、記事のコメント欄には、追悼の意を示しつつも「今日初めて知りました」「正直知らない人だ」といった書き込みが数多く寄せられていた。
コアな音楽ファンの間では、「知る人ぞ知る」存在として親しまれていたテクマ!さん。ただ、メジャーでの露出はほぼなかったため、一般層からの知名度は決して高いとはいえなかった。
そのため、テクマ!さんと生前親交があったエッセイストのたまさぶろ氏は、16年9月5日正午に「Yahoo!ニュース 個人」に寄稿した追悼記事の中で、
「テクノ・ミュージシャンの『テクマ!』と聞き『ピン!』と来るのは、よほどの東京アンダーグランド通に違いない」
との一文を残していた。