日本の航空政策の矛盾
国交省としては、羽田は引き続き、国内線の基幹空港としての機能を残しつつ、国際線では「高需要ビジネス路線」を担う空港を目指していくという。成田は北米とアジアを結ぶ乗り継ぎ需要とLCC、貨物需要を担う空港を目指す。成田は、例えばシンガポールから北米に向かう外国人が乗り継ぎの中継地として利用するケースが多い。それは成田に国際定期路線が集中し、乗り継ぎやすいからだ。
従って、羽田は日本人が国内線と国際線の乗り継ぎで使い、成田は外国人が乗り継ぎで使うイメージとなる。もちろん日本人でもLCCを利用する人は羽田よりも成田を使うことになる。
しかし、東京都心を低空で通過して離着陸する飛行ルートの設定で羽田の発着枠が増えるほど、成田の需要が減るのではないか。国交省が主張するように成田を外国人利用者の乗り継ぎ空港とするのであれば、日本の利用者にとって成田の存在は薄れていくだろう。羽田の利便性が高まるほど国際線が羽田に集中し、外国人の乗り継ぎも、いずれ羽田になるのではないか。日本の航空政策はそんな矛盾を抱えている。