日本のGDP統計の盲点 大臣も「どこまで信用していいのか...」

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さまざまな官庁がそれぞれの統計をバラバラにまとめる

   とはいえ、日銀の手法にも問題は多い。企業は赤字を翌年度以降の黒字と相殺して納税額を減らせる「繰越欠損金」制度があり、この影響を織り込むのは難しく、「税収は経済活動とは必ずしも連動しない」(内閣府)。さらに、法人税の納付状況などの税務情報がすべて公表されるのは年度が終わってから1年3か月程度後で、日銀も2014年度のGDPまでしか試算できていない。これでは機動的な経済政策を実施する材料にはできない。

   いずれにせよ、現在の経済統計に、いろいろと疑問があるのは確か。2015年10月の経済財政諮問会議で麻生太郎財務相が家計調査をはじめ、「毎月勤労統計」(厚生労働省)や、「消費者物価指数」(総務省)の問題を挙げ、見直しを求めた。そもそも、さまざまな官庁がそれぞれの統計をバラバラにまとめていることから、「整合性・統一性が取れない」(エコノミスト)との指摘は絶えない。

   統計の観点から、日銀・内閣府論争に山本幸三・地方創生担当相も割って入り、8月4日の記者会見で「(政府統計は)各省でまったく調整が取れていない。その結果、日本のGDP統計はどこまで信用していいか分からない」と指摘した。山本氏は安倍首相と野党時代に金融政策に関する勉強会を重ねるなどアベノミクスの形成に関与し、日銀に大規模緩和を促してきた「リフレ派」の代表的な政治家。地方創生のほか、行政改革、規制改革、国家公務員制度も担当で、行改や公務員改革の観点から統計業務の一元化に乗り出す可能性も取りざたされる。

   今回の日銀の試算が、にわかに「公式統計」に組み入れられることは考えられないが、「問題提起としては意味があった」(エコノミスト)ということか。

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