東京都の小池百合子知事が就任会見で設置を表明していた「都政改革本部」の初会合が2016年9月1日、開かれた。小池知事は、この「改革本部」を通じて都や都議会の「利権」や「闇」に切り込みたい考え。
小池氏は冗談交じりに、1930年代に当時の満州国を調査したリットン調査団や、連合国軍総司令部(GHQ)を引き合いに出しながら、情報公開や改革の徹底を求めた。2020年東京五輪・パラリンピックに関する調査チームも立ち上がる予定。
橋下徹氏のブレーンだった上山信一氏が特別顧問に
会議には副知事や局長に加え、小池氏が任命した特別顧問ら約40人が出席。小池氏は冒頭、約10分にわたってあいさつし、
「各部局においては、この本部会議で示された方向性に従って、政策や制度、予算、仕事のやり方など、あらゆる角度から改革を行っていただきたい」
「私を筆頭に外部の方々...別に(満州国を調査した)リットン調査団として、ここに入っているわけではない。戦後のGHQとして都庁に乗り込んでいるわけではない。担い手は皆さん」
などと幹部に発破をかけた。
小池氏は、
「都民ファースト」「情報公開」「税金の有効活用(ワイズ・スペンディング)」
の3つの方向性を指示。
「都民目線による行政を進めるために仕事の進め方も改革をしていきたい」
「いつ、だれが、何を決めたのか。これを『見える化』していく」
などと話した。
五輪や情報公開の調査チームを実質的に率いるのは、特別顧問の統括役を務める上山信一・慶大教授。上山氏は大阪市と大阪府の特別顧問として橋下徹氏のブレーンを務めたことでも知られている。
文春には「都議会ドン関係企業」めぐる記事が載ったばかり
上山氏は
「(東京五輪・パラリンピックの)組織委員会は、知事も時々言及しているが、97.5%の資本を東京都が出資している、いわゆる外郭団体。その割には、そこに対する管理監督がきっちりされているかどうかというと、かなり疑問がある。情報公開を求めてもあまりしていただけないとか、お金の使い方に関する説明がないとか、こういうことについては、出資元である都として、きっちりとチェックしていく必要がある」
などと話し、組織委員会周辺の資金の流れも明らかにしたい考えだ。
9月1日(首都圏など)発売の「週刊文春」(9月8日号)では、トップ項目に
「『五輪予算』膨張の裏で 都議会ドン関係企業続々受注」
と題した記事が掲載されたばかり。「都政改革本部」の動きが本格化するにつれて、都議会との対立が先鋭化する可能性がある。