男性だけで物事を決めると「極端な選択」に走りがちになるが、女性が加わるとバランスがとれた判断を下しやすいことが、米ボストン大学のクリスチーナ・ニコロバ助教授(心理学)らの研究で明らかになった。
米のマーケティング専門誌「Journal of Consumer Research」(電子版)の2016年8月2日号に発表された。
男同士がチームを組むと「男らしさ」が邪魔をする
研究チームは、男女学生1200人とオンラインで参加した男女673人を対象に、次のような実験を行なった。
(1)参加者を男性1人、女性1人の単独か、または2人組に分け、インターネットを通じ、値段や品質が違う様々な製品を選んで購入してもらった。製品は、歯磨き粉やタイヤ、台所のグリル、プリンターなどだ。また、かなりリスクが高いものから安全性が高いものまで、危険度が異なる株を買うか買わないかの決断もしてもらった。
(2)2人組の場合は、男性同士のペア、女性同士のペア、男女混合ペアの3種類に分けた。それぞれ製品の選択や、株の購入可否の決断の際は相談の上で意思決定をさせた。2人組は全員知らない者同士を組み合わせた。
実験の結果、男性2人がチームを組むと、極端な決定を下すことが多いことがわかった。しかし、男性が1人の場合や、女性が1人以上入るケース(女性1人・女性ペア・男女ペア)では、バランスのとれた中庸な判断を下すことが多かった。また、株を買うか買わないかを決める場面では、男性ペアの場合、1人が慎重になると、もう1人が見下すような態度を見せることが多く、危険な投資を行なうケースが増えた。しかし、男女ペアの場合では、男性は女性に対しては見下す態度をほとんどとらなかった。女性ペアでも、相手を見下すような態度はみられなかった。
一番使いづらい台所用品を半分が選んだ男性ペア
たとえば、グリルを購入する実験を例にとると、男性ペアは約半数が最も大きく重い製品を選んだ。これは一番使いづらい製品だった。しかし、男性1人の場合ではその製品を選んだのは15%だけで、女性1人や女性ペアでは選んだ人はゼロで、4分の3が軽量の一番使いやすい製品を選んだ。男女ペアも同様な傾向がみられた。つまり、男性同士の組み合わせは「最悪」の決定をすることが多くなり、女性が1人でも加わると、的確な判断を下すことが多くなるわけだ。
今回の結果について、ニコロバ助教授は「男性同士が仕事をする時、『男らしさ』の圧力がかかることを示しています。男性は他の男性に『男らしさ』を証明しようと、無意識のうちに『いちかばちか』の選択をして見せます。妥協することは、『女性的だ』と見なされると思い、極端な選択に走るのです」とコメントしている。
1人で食べる時は妥当なレストランを選ぶのに、男同士でレストランを決めさせると、豪華で高い店を選んでしまう。だから、あらゆることの意思決定に女性を参加させるべきだと、ニコロバ助教授は指摘している。