東京都の小池百合子都知事が2016年8月31日に都庁で記者会見を開き、11月7日に迫っている築地市場(中央区)の豊洲市場(江東区)への移転を延期することを正式表明したことに、当の市場関係者が揺れている。
築地市場関係者の間では反対派から歓迎の声が上がる一方、移転準備を進めてきた推進派からは戸惑いの声が聞こえる。
「食の安全を守るためにも大事」
小池氏が移転延期の方針を固め、公表することについては、前日30日の時点で報じられていた。
これを受け、移転反対派である水産仲卸業者「関富」の関戸富夫社長は31日朝放送の「モーニングショー」(テレビ朝日系)にVTR出演し、
「本当に最後まで諦めなくて良かった。都民の食の安全を守るという見地からも11月7日をずらすことは本当に大事なことです」
と歓迎した。
関戸氏は築地関係者で組織する「躍進する市場の会」の代表を務めている。移転をめぐっては土壌汚染対策が不十分なことなどを訴え、7月の都知事選期間中には小池氏に移転延期を求める要望書を手渡していた。
「築地市場・有志の会」代表呼びかけ人の1人でマグロ仲卸業を営む和知幹夫氏も「ひとまず安堵の気持ち」と31日付産経新聞の中でコメント。移転には引っ越し代だけで1000万円ほどかかると指摘し、業者の負担の大きさを問題視した。