銀行の住宅ローン、9月から金利引き上げ 「固定型」で5か月ぶり

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   三菱東京UFJ銀行とみずほ銀行、三井住友信託銀行が2016年9月以降に契約する住宅ローン金利を一部引き上げる。三井住友銀行やりそな銀行も引き上げを発表した。

   銀行の住宅ローン金利は、日本銀行のマイナス金利政策の影響で、8月まで2か月連続で過去最低の水準で推移していた。金利引き上げは4月以来、5か月ぶりとなる。

  • 9月から、銀行の住宅ローン金利が引き上げられる!
    9月から、銀行の住宅ローン金利が引き上げられる!
  • 9月から、銀行の住宅ローン金利が引き上げられる!

「足元で市場金利がやや上昇しているため」

   銀行が2016年9月1日から金利を引き上げる住宅ローンは、「固定金利型」だ。三菱東京UFJ銀行は、店頭表示金利の固定特約タイプのうち、融資期間10年の住宅ローンの金利を0.10%引き上げ、年3.10%とした。店頭表示金利より低い、最優遇金利は10年固定特約タイプで、現行の年0.5%から年0.60%となる。

   一方、三井住友信託銀行は期間10~35年が0.10%の引き上げ、期間2~5年は0.05%引き上げる。9月からは、10年固定で年2.75%(店頭表示金利)。最優遇金利で年0.45%の水準になる。

   8月31日に引き上げを発表した三井住友銀行は、期間「10年超15年以内」を0.10%引き上げたほか、「15年超20年以内」を0.10%、「20年超35年以内」を0.12%引き上げた。10年固定特約タイプの最優遇金利は年0.70%から年0.80%になる。

   みずほ銀行は0.05%引き上げ、10年固定の最優遇金利で年0.70%。りそな銀行は0.1%引き上げ、10年固定の最優遇金利で年0.75%となる。

   三菱東京UFJ銀行によると、今回の引き上げは「足元で市場金利がやや上昇しているためです」と説明。市場金利の動向に加えて、他行との競争環境などを考慮して「総合的に判断しました」という。

   日銀のマイナス金利政策の影響で、銀行の住宅ローン金利は過去最低の水準で推移している。引き上げは5か月ぶりだが、最近は長期金利が上昇傾向にあった。

   固定金利型住宅ローンの金利は、長期金利の動きに連動して決まる。長期金利の指標となる満期10年の新発国債の流通利回りは、7月に一時、マイナス0.300%と過去最低をつけたが、その後はマイナス幅が縮み、8月29日には一時マイナス0.055%になった。こうした動きを反映した。

   また、住宅ローン金利の引き下げ競争が激化していることもある。銀行にとって、企業向け融資(貸し出し)が思うように伸びないなかで、住宅ローンは融資を伸ばす重要なツール。多少利ザヤを薄くしてでも、分量を稼ぎたいという思惑がある。

変動金利型住宅ローンの金利は下がらない

   一方で、9月適用分の変動金利型住宅ローンの金利は、年2.475%(店頭表示金利)のまま、据え置かれた。

   その理由は、長期金利にほぼ連動する固定金利型と異なり、「変動金利型の場合、金利が短期プライムレート(短プラ)の動きに連動するため」(みずほ銀行)だ。

   短プラは、企業向けの短期(1年以内)貸し出しに適用する最優遇金利をいう。変動金利型住宅ローンは、それを基準(指標)に1%程度上乗せした水準(店頭表示金利の場合)で、半年ごとに金利を見直す。

   じつは短プラも、すでに空前の超低金利の状況にある。企業向け融資が大きな収益源の銀行にとって、短プラを引き上げたいとの思いはあるが、金利を引き上げれば、企業はなおのこと資金を借りなくなるので引き上げにくい。つまり、銀行が短プラを引き上げないため、変動金利型住宅ローンの金利も上がらないというわけだ。

   ただ、その変動金利型にも優遇金利があり、たとえば三菱東京UFJ銀行の場合、給与振込口座があることや、電気やガス、水道などの公共料金の口座引き落としやカードローンなどの取引ぶりに応じて、年2.475%の金利が年0.625%~0.875%に引き下げられて適用される。固定金利型と同じように、変動金利型も過去最低の水準であることには変わりない。

   そんな固定金利型と変動金利型がある住宅ローンだが、長期金利が下がっている一方で、短プラが下がらないために、8月は両者の適用金利の「逆転」現象が起っていた。

   住宅ローン金利では、将来的な金利の変動リスクがある「変動型」と、金利が変動しない「固定型」とでは、変動型の金利が低く、固定型の金利が高いというのが一般的。「逆転」の原因は、2016年2月に日本銀行がマイナス金利政策を導入したことだ。

   たとえば、三菱東京UFJ銀行の変動金利型の最優遇金利(8月分)は0.625%だが、10年固定特約タイプでは年0.5%になっている。その差は0.125%もある。

   通常、変動金利型は、将来の金利上昇の負担を利用者が負うことになるため、金利が低く設定されている。逆に、固定金利型は将来の金利変動リスクを、銀行が負う。預金(調達)金利が上昇しても低い金利のまま長期に貸し続けるので、変動金利型より高めの金利が設定されているわけだ。

   8月時点で、固定金利型と変動金利型とのかい離は0.05%~0.1%程度あった。

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