東京女子大学(東京都杉並区)は2016年8月29日、16年度入試(2月3日実施)の「日本史」の問題で採点ミスがあり、新たに9人を合格にしたと発表した。
設問そのものが間違っている「出題ミス」はしばしば起こるが、今回は、大学が発行している問題集で示された解答で誤りが発覚し、採点のやり直しにつながった珍しいケースだ。
大学発行の問題集で明らかに
採点がやり直された設問は、1945年に日本に対して出されたポツダム宣言の中の「中華民国」という単語にアンダーラインを引き、以下の4つの選択肢の中から正しいものを選ばせる形式だった。
「ア カイロ会談、ポツダム会談のいずれも、中華民国代表として汪兆銘が出席した」
「イ 吉田茂内閣が結んだ日華平和条約により、中華民国との講和が成立した」
「ウ 池田勇人内閣が結んだ取り決めにより、中華民国との間でLT貿易が始まった」
「エ 福田赳夫内閣が発表した日中共同声明により、中華民国との外交関係は断絶した」
大学は16年6月中旬に発行した「入学試験問題集2016」で、この設問について
「アのカイロ会談に出席したのは蒋介石。ウのLT貿易は中華人民共和国との間のもの。エの日中共同声明は田中角栄内閣の時」
と解説。「イ」以外は間違いだという書きぶりだったが、どういうわけか「解答例」に書かれていたのは、「ウ」だった。
この「問題集」は書店などでは市販されておらず、資料請求した人に送ったり、オープンキャンパスなどのイベントで配ったりしていた。この問題集を取り寄せた「全国入試問題研究会」(福岡市)が7月、「ウ」ではなく「イ」が正解だと指摘したところ、大学側も「イ」が正解だとして採点と合否判定をやり直し、新たに9人が合格した。この9人については「すでにお詫びとともに合格通知をお送りし、個別に対応を進めております」と説明している。これに加えて、2月3日に日本史を受験した人全員にお詫びの文章を8月29日付で送っている。