豪華客船の特別損失、累計2300億円超
一方、豪華客船の建造事業も苦しい。豪華客船でのクルーズは最近の新しい旅行スタイルとして人気で、世界には380隻もの外国客船がある。現在、日本にある大型客船3隻のうち、2隻(「飛鳥Ⅱ」と「にっぽん丸」)が三菱重工の建造だ。
だが、2016年8月27日付の朝日新聞は、「客船造り130年、岐路に ネット対応遅れ大赤字、撤退も浮上」の見出しで、三菱重工の客船建造が、「事業をやめるかどうかの瀬戸際に追い込まれている」と報じた。客船内でインターネット回線が利用できるようにするための設備投資に金がかかってしまい、赤字になるというのだ。
三菱重工は2011年に受注した米カーニバル傘下の「アイーダ・クルーズ」向け豪華客船2隻(いずれも約12万5000総トン、3250人乗り)の建造で、2015年3月に納入予定だった1番船が、設計や資材の変更などで納入時期を2度延期し、越年。16年3月に引き渡したものの、4月25日に、建造の遅れを理由に、「2016年3月期に508億円の特別損失を新たに計上する」と発表していた。
1番船ではエンジンの不具合や、顧客の要望に応じた騒音対策や内装の仕様変更などで納入が送れたほか、1月に発生した火災の影響もあって費用がかさんだ。豪華客船の特別損失はこれが初めてではなく、2016年3月期までに累計で2300億円超を計上。2番船は1番船での作業が反映されるとはいえ、16年内の引き渡しは難しく、損失がさらに膨らむ可能性もないとはいえない。
インターネットには、三菱自動車の燃費不正も含めて、三菱グループ全体の問題としてとらえる向きもあり、ツイッターには、
「ネット回線引けないといまや完全消滅の時代か。自動車の燃費問題もあるし、2016年は三菱にとって最悪の年になったな」
「最近の客船の客室数考えると、街一個分のネット回線をつくるようなものだし、そりゃノウハウないと死ぬわwww」
「三菱グループ自体が全体に時代に追いついていないということはないんだろうか...」
といった声も寄せられている。