2016年8月27日、28日に放送された「24時間テレビ」のワンシーンが、ネットで物議を醸している。
問題視されたのは、事故で両足が不自由になった少年が富士登山に挑戦する、というコーナー。企画の内容もさることながら、無事登頂した少年が疲労困ぱいした様子を見せたためか、「どうみても虐待」との指摘が上がっている。
スタジオから「達成感はないの?」
問題のシーンは、28日16時ごろに放送された。大事故で一時は下半身不随になったものの、懸命なリハビリを続けて歩けるようになった12歳の少年が富士登山に挑戦した。コーナー名は「両足マヒになんて負けない! 少年と家族が挑む富士登山」だ。
悪天候の中、少年は雨に打たれながらも無事登頂した。しかし、登り切ってもなお笑顔を見せることはなかった。一緒に登っていた父親と母親が背後で感極まって涙を流す中、「頂上登ってみてどう?」「達成感はないの?」といったスタジオ側の質問に真顔で「寒いです」とだけ答えた。
ツイッターには、こうした映像を見たネットユーザーから、
「虐待に近い気がする」
「どう見ても児童虐待です」
「虐待を見た気分です」
との指摘が次々と書き込まれた。さらに、天候を考慮して企画の「中止」を求める声も多かった。
3年前の富士登山企画でも批判が...
この数分後に一瞬流れた中継映像もまた話題を集めた。カメラは、体力を使い果たして立てなくなった少年を父親が抱きかかえたり、頭をなでたりする様子を映す。
しかし途中、父親が少年のキャップを勢いよく払い取ったため、「(父親が)子を殴ったのではないか」とツイッターなどで指摘された。
この映像は、少年を抱きかかえた父親が地面に倒れこむシーンや父親が少年の頭をなでるシーンがカットされて、ツイッターに拡散。まとめサイトが「怒鳴られてブン殴られる」「指示に従わない障害者を殴る」といった見出しで取り上げた。ただ、J-CASTニュースがあらためて放送された映像を調べた限り、「怒鳴られて」とか、「指示に従わない」という状況は確認できなかった。
「24時間テレビ」は、過去にも「富士登山」企画を打ち出し、同じような批判を受けたことがある。2013年に、東日本大震災で被災した子どもがお笑いタレント・イモトアヤコさんと富士登山に挑戦する、というコーナーだった。
このときは、子どもたちは無事登り切ったが、「悪天候なのに引き返させなかった」、「マイナーでハードなコースを選んだ」などといった批判が相次いだ。
「24時間テレビ」は毎回、こうした問題が指摘されるが、今年は28日の裏番組、NHKのEテレ「バリバラ」が「障害者の感動ポルノ」と指摘するなど、例年にもまして風当たりが厳しかった。それでも、平均視聴率は15.4%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と高く、国民的な関心を集めているのも事実だ。
J-CASTニュースは、今回の富士登山企画の反響について、日本テレビに取材を申し込んだが、「広報担当者が全員不在」ということで、回答は得られなかった。