自民党、今度こそ脱「オオカミ少年」?  「配偶者控除」見直しへの本気度

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「夫婦控除」創設案

   ただ、この間、事態が進んでいないわけではない。

   まず、基本的な論点整理はすでに終えている。2014年に最終結論は先送りされた時も、政府税調として5案を提示済みだ。(1)配偶者控除廃止、(2)所得制限導入、(3)配偶者の収入に関わらず夫婦の所得控除枠を一定にする、(4)同様に夫婦の税額控除の枠を一定にする、(5)新たに「夫婦控除」創設――の5つで、当時から(5)が最有力とされている。

   (5)は、配偶者控除は廃止し、夫婦であれば誰でも控除が受けられる「夫婦控除」に転換する方向ということだ。ただ、所得税改革は配偶者控除だけでなく全ての控除制度を見直し、改正の前後で税収がほぼ等しくなる「税収中立」で実施するのが前提で、子どもがいる世帯の負担を減らすとともに、全体として低所得者は減税し、高所得者は増税する方向だ。その場合、従来のように「所得控除」を増やすのでは、年収の少ない人への恩恵が少ないので、年収が低い人ほど税負担軽減の効果が大きい税額控除やゼロ税率という仕組みの採用を検討するとみられている。配偶者控除に代わって夫婦控除に転換するにしても、「税額控除」を活用する可能性がある。

   実は、配偶者控除に関してこの間、選挙のたびに自民党公約は書きかえられている。先の参院選では最新の公約が示された。政府関係者は、自民党の姿勢について「今度こそ、本気で配偶者控除を見直す」と指摘する。

   自民党は2013年の参院選公約の「総合政策集」で「財政健全化への着実な歩み」の項の中で、「(所得税について)社会の基本は『自助』にありますから、家族の助け合いの役割も正しく評価されなければなりません。その観点から、配偶者控除は維持し、児童手当との関係を整理した上で年少扶養控除を復活します」と、配偶者控除維持を明言していた。

   これが2014年12月の総選挙公約では、「すべての女性が輝く社会の実現を」の中で、「働き方に中立的な税制・社会保障制度等について、総合的に検討します」と書いたのみで、「配偶者控除維持」は落ちたが、まだ、どっちつかずの印象だ。

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