日本在住や観光などで訪日したイスラム教徒(ムスリム)の女性は、イスラムの戒律に合った化粧品がなかなか手に入らず困っている人が少なくない。
そんなムスリムの女性のために、埼玉県化粧品工業会、城西大学薬学部(埼玉県坂戸市)、埼玉県薬務課が「産・学・官」の合同研究チームを作り、イスラム教で禁止されている成分を一切排除した「ハラル認証」の化粧品を開発、2016年8月19日から販売を開始した。
イスラム女性は1日5回の礼拝時にメイクを落とすので
「ハラル」とは、イスラムの教えに従った商品を意味する。具体的には、宗教法人・日本イスラーム文化センターが成分や製造工程などを厳しく審査し認定する。「ハラル認証」を得られると、「ハラルマーク」と呼ばれるロゴを商品に付けることができる。化粧品の場合は、イスラム教で禁止されている豚肉由来成分やアルコール(エタノール)を使用していないことが条件だ。今回開発した化粧品は、2016年7月、同文化センターの審査機関から「ハラル認証」を与えられた。
城西大学薬学部は、ムスリムが多いマレーシアの姉妹大学から留学生を受け入れていることが縁となり、2014年に埼玉県薬務課、埼玉県化粧品工業会とともに研究を開始。3者の研究成果をもとに石田香粧株式会社(工場・埼玉県戸田市)が化粧品を製造した。
ムスリムは、1日5回の礼拝時にメイクを落とし、ヒジャブで覆われていない部分の日焼け予防を意識するため、商品はメイクアップリムーバーと、化粧水・乳液・美容液の3機能を持つオールインワンのホワイトジェル、日焼け止め用UVケアクリームの3つにした。ブランド名は「Melati(メラティ)」。「MADE IN JAPAN」のハラル認証化粧品として日本国内だけでなく、東南アジアや中東諸国への販路拡大も目指す。