グル―ポン、日本上陸から6年 再起の芽はあるか 

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   インターネットのサービス「クーポン共同購入サイト」が曲がり角に立っている。

   期間限定で一定の人数が集まった場合に限り、大幅割引や特典付きのクーポンを事前に販売するもので、日本国内では2010年、新規参入が相次いだ。その中でも、6年前に鳴物入りで日本上陸を果たした業界大手のグルーポン・ジャパンは生き残りの瀬戸際にある。

  • グルーポンが日本上陸を果たしてから6年
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日本上陸直後にダメージとなった「おせち騒動」

   グル―ポン・ジャパンは、米グルーポンが2010年6月、東京に設立した。国内でクーポン共同購入への注目が高まっている中での「真打ち登場」だったが、最初の年末年始でつまずいた。

   「スカスカおせち騒動」――。覚えている読者の方も少なくないだろう。2010年末、横浜市の業者がクーポン共同購入サイトを通しておせち料理を販売した。広告写真には、重箱に肉や魚介類をはじめ豪華な食材が詰め込まれていたが、実際に届けられた品はまるで違った。料理がほとんど入っておらず見た目が貧弱で、汚らしい印象すらあった。怒った購入者がネット上に実物の写真とともに事実を暴露し、大騒ぎとなった。この時、業者が顧客集めに利用したのがグルーポン・ジャパンだった。

   この「おせち騒動」で、公式に謝罪したのが2016年1月29日と時間がかかってしまったうえ、問題を起こした業者の事情をきちんと把握しておらず、連携不足が指摘された。そのうえ、料理の食材に偽装まで発覚した。日本市場で大きく成長していこうとした矢先、おせち騒動は大きなダメージとなった。 

   クーポン共同購入の比較サイト「クーポンサイトジェイピー」は、2011年10月から独自にクーポン共同購入サイトの売り上げランキングを発表してきた。最初の月はグルーポン・ジャパンが首位で、売上高は12億8659万円となっている。2014年後半も比較的好調で、14年10月は約18~20億円に達したが、最後の調査となった2015年8月は、リクルートの「ポンパレ」に次ぐ2位に落ち、売上高は11億5877万円~12億0915万円となった。金額に幅があるのは、グルーポン・ジャパンがクーポン販売枚数を正確に公表していないためという。

サイトリニューアル直後に不具合で大混乱

   グルーポン・ジャパンは2013年8月、ソニーやアマゾン・ジャパンで事業戦略、組織マネジメントに携わった根本啓氏が代表取締役CEO(最高経営責任者)に就任。「スカスカおせち騒動」のイメージを払しょくしようと、2014年末にはおせち料理のクーポン商品を復活させるなど、精力的に動いた。

   しかし、同社は2016年5月17日、根本CEOの退任を発表。代わって外部からブライアン・ネルソン氏が「カントリー・マネジャー」の肩書きで経営の指揮を執ると明らかにした。特に理由は説明されていない。

   この新体制の船出を、いきなり荒波が襲った。7月23日、ウェブサイトのリニューアルを実施したところシステムに不具合が発生。サイトにアクセスできない、未使用クーポンが表示されないといった障害が出た。3日後にはほぼ復旧したが、その後も不安定な状態が続き、顧客対応用の電話もつながりにくくなった。ネット事業にとっては致命的なミスで、グルーポン・ジャパンのフェイスブックページには消費者からの怒りのコメントが書き込まれた。

   米本社も状況は厳しい。2015年9月22日、全従業員の9%にあたる1100人の削減計画を発表した。この時点で事業を閉鎖していたギリシャやトルコに続いて台湾、タイ、フィリピン、モロッコなど7か国・地域からも撤退予定を明かした。同年11月には、創業メンバーだったCEOが解任された。

   米本社は、2016年9月末までにリストラ手続き完了を目指すといい、2016年4~6月期の連結決算は、売上高が7億5600万ドル(約774億円)で、前年同期比2%増とアナリストの予想を上回った。だが純損益は5790万ドル(約59億円)の赤字で、決して楽観はできない。グルーポン・ジャパンも、米本社の経営立て直しの進み具合によっては影響を受けないとも限らない。

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