【あのネットサービスは今】(7)
モンスターSNSだった「Myspace」 アーティストとファンをつないだ全盛期

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   Facebookが世界を覆う以前の2000年代、最大手のSNSとして人々に親しまれていたのが「Myspace」だった。若い音楽ファンを中心に全世界で数億人が利用し、2006年には米国内においてはGoogleよりも多くの人が訪れ、120億ドルの価値があると言われた巨大サービスだ。

   しかし、2016年現在では、SNSといえばFacebookやTwitterが主流で、Myspaceには以前ほどの存在感は無い。全盛期にはGoogleすら凌いだかつてのSNSの王者は、どのような道のりを辿ったのだろうか。

  • 音楽ファンなどから親しまれたSNS「Myspace」のアイコン
    音楽ファンなどから親しまれたSNS「Myspace」のアイコン
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2億件のアカウントで音楽業界に影響力

   2003年にサービスを開始したMyspaceは、音楽とエンターテイメントに重点を置いていた。まずはミュージシャンたちにサービスを利用するように持ちかけ、プロモーションの場として曲のアップロードを促した。そうして蓄積された音楽コンテンツは、Myspaceの最大の武器となり、一般ユーザーが数多く集まり、2005年から2008年にかけて全盛期を迎えた。その時期、国内でも使った音楽ファンも多いだろう。

   「こんなアーティストをMyspaceで見つけた、そこから更にこういうのも見つけた」というような会話は、当時様々な場所で繰り返され、音楽ファンからの高い支持を得ていた。

   2006年にはアカウント数が1億を超え、2008年には2億になった。また、ミュージシャンとファンが交流し、新たな音楽の発見の場となったことで、音楽業界へも強い影響力を持つようになった。Myspace内で話題になったことがデビューに繋がったローカルアーティストもいた。

   日本版は2006年にソフトバンクと共同でサービスが始まった。海外で蓄積された膨大な音楽コンテンツと、ページのカスタマイズ性を武器にmixi全盛の日本市場に上陸した。

日本上陸の5年後には撤退

   しかし、Myspaceの天下も長くは続かなかった。後発のFacebookにアメリカ国内のユーザー数で抜かれた2009年から、急速に勢いを落とし始める。

   広告で収益を得ていたため、ユーザー数の減少はそのまま業績悪化に直結。大幅なリストラを数回繰り返し、全盛期には1600人ほど抱えていた従業員も、200人以下になるなど、企業規模を縮小した。

   2011年には日本版が撤退。この時点ではすでにFacebookが大きな力を持っており、あまり注目もされず表舞台から去ることになった。

   多くの人が離れた後も、Myspaceは方向性を模索。ジャスティン・ティンバーレイクが資本参加し、大幅なリニューアルや動画サービスへの注力もあり、2014年には前年比で469%も利用者が増加した。その結果月に4000万人が訪れるようになったとはいえ、すでに撤退した日本で話題になることは無かった。

   近年でMyspaceの名前が報じられたのは、2016年に発生した3億件以上のログイン情報の流出というニュースだ。それに対してツイッターでは、怒りや焦りといった反応よりも、

「マイスペ思い出させてくれてありがとうw」
「マイスペからごめんなさいメール来たけどもうIDとPass忘れたわ」

など、もはや存在すら忘れていた、まだあったのか、といった投稿が相次いだ。

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