ヤフーの「検索データ 急上昇ワード」で2016年8月26日午前10時からトップを独走したワードがある。中高生専門SNS「ゴールスタート」の通称ゴルスタだ。
注目が集まったきっかけは、会員が「ゴルスタ」の運営の悪口を投稿すると、即座にアカウントが凍結されるという規約で、復帰するために書かされた反省文も、あまりにも卑屈な内容で、どこかの共産圏か、カルトみたいだ、という投稿がツイッターで広まり始めたからだった。ゴルスタの公式ツイッターは大炎上し、運営会社のホームページもアクセスが集中し閲覧ができなくなった。
「少年少女たちを全力で恫喝している」
「ゴルスタ」は個別指導塾「森塾」などの運営で知られる総合教育会社スプリックスが2014年からサービスを開始した、中学生・高校生だけが利用できるスマートフォン用「中高生限定アプリ!」として始まった。チャットで相談し合ったり、写真や動画をアップできる。教育会社らしくイケメン講師による授業も受けられる。また、出会い系サイトとして利用されないよう細心の注意を配っていて、電話番号やメールアドレスの交換などは厳禁としている。
こうした性格のアプリのため、一般の人たちにはシステムや規約がどうなっているか知られることはなかった。しかし、このアプリでは、運営側とユーザーの間でおかしなやり取りが行われているのではないか、とネット上で話題になる。きっかけは16年8月21日の「ゴルスタ」公式ツイッターでのこんなツイートだった。
「ある元ユーザーがゴルスタの円滑な運営を妨害する行為を何度も行い、また限度を超す非常に悪質な手口であったため『威力業務妨害』で警察に通知します。加担した人間やツイート拡散に協力した人間の特定も行いました」
この文章が、少年少女たちを「全力で恫喝している」と話題になり、「ゴルスタ」はどんな運営をしているのかという詮索が始まった。すると、「ゴルスタ」では24時間体制で全ての投稿の監視が行われ、ユーザーもその監視に参加している。運営の悪口を書き込んだら即座にアカウントは凍結される。凍結された場合には「利用停止:無期限」の通知が来て、「反省文を送信する」に反省文を書き、それが認められれば復帰することができるということが分かった。
その反省文も見つかり、「運営様にお願いがあります」などという卑屈な内容に、「北朝鮮か!」「どこのカルトだよ!」などと、ツイッター上で驚きの書き込みも広がった。
違反者はツイッターで公開、という規約も
さらに、規約に驚きが広がった。入会する際に要求されるのが、同社や他社の広告を掲示するため必要な携帯端末や、ログ、cookie、そして保護者名義を含むクレジットカードなどの情報だ。アカウント凍結を解除する場合は学生証の画像を送らなければならないし、他社のSNS、例えば「LINE」やアプリのレビューなどに「ゴルスタ」運営の悪口を書いてはいけない。違反が見つかった場合はユーザー名をツイッターで公開する。会員の中に中高生でない人が見つかった場合は警察当局に即座に通報する、などがある。
26日にこうした事実が伝わると、ネットユーザーからは「ゴルスタ」公式ツイッターに批判が殺到した。なぜか「オウム真理教」関連の写真が多数投稿されている。同社の公式ホームページにもアクセスが集中し、26日18時現在、閲覧ができなくなっている。
また、中高生ではない大人がわざと「ゴルスタ」の会員になり、掲示板にワイセツな書き込みをするイヤガラセ行為も相次いだ。そして、「自分は会員になってから6分でアカウントが凍結された」などという「凍結自慢」の競争も起こっている。
また、消費生活センターに連絡する人もいて、担当者とのやり取りの一部始終をツイッターで報告する人も現れた。
J-CASTニュースは8月26日にネット上で騒ぎになっていることについて、スプリックス社に取材を申し込んだが、
「申し込みがあったことは担当者に伝えますが、返事ができるかは分からない」
として、連絡は同日18時現在、来ていない。