サイバーエージェントグループが運営するPC向け女性用インターネットコミュニティサービス「プーペガール」が、2015年3月31日に幕を閉じたが、いまでも全盛期を懐かしむ女性たちの声がネットには続いている。
着せ替えをしながらファッションコーディネートを楽しむ無料会員サービスとして、2007年2月にスタート。一時は会員数が100万人を超え、月間1億5000万PV(2008年2月時点)を記録した。
画期的だった「リアル」と「仮想」のつながり
プーペガールは、「プーペ」と呼ばれる人形に"着せ替え"をして楽しむサービスだ。人形の着せ替え遊びと同じ感覚で、洋服やアクセサリなどプーペ用のファッションアイテムを集めたり、着せ替えたプーペをユーザー同士で見せ合ったりして楽しむ。
それまでの「アバター」サービスと大きく違うのは、現実世界の「自分」とリンクしていることだ。
たとえば、自分が持っているスカートの写真をプーペガールに送るとプーペ用のスカートがもらえる。白い服を送ると白いファッションアイテムが送られてくる、というもの。自分のワードローブが充実していればいるほど、プーペもたくさんの洋服を持ち、着せ替えすることができる。この「リアル」と「仮想」のつながりは画期的だった。
足りないときは、写真を投稿することでもらえる「リボン」や、課金で得られる「ジュエル」という仮想通貨を使って、自分のアイテムを増やしていく。
「それかわいい」「珍しい帽子だね」......。仮想空間の中でも、女性たちは自分の代わりにプーペを着替えさせて、互いのコーディネートをほめ合いコミュニケーションをとっていた。
女性の心理を突いて会員100万人突破したが...
2008年9月22日のニュースサイト「BB Watch」(現在は休刊)のインタビューで、森永佳未代表取締役社長(当時)は、ヒットの要因をこう分析していた。
「できるだけ購買意欲をそそるような仕掛けを用意するようアイデアを練りました。たとえば女の子って、『限定商品』に弱いじゃないですか(笑)。プーペガールには『キャサリンショップ』というアイテムが購入できる場所あって、ここではある時期しか買えないアイテムも用意しています」
「写真を送ってもらえるアイテムの中にも、手に入りやすいものと、なかなか出現しないレアなアイテムがあります。アイテムは全部で4000点ほど用意しています」
女性だからこそわかる女性の心理をついた作戦は大いに当たった。
2009年12月にゲーム化され、2011年4月にはついに会員数100万人を突破した。
しかし2012年以降、スマートフォンの普及で様相は変わる。PC離れが進むとともに、スマートフォンのファッション系サイトやアプリが台頭してきた。「スマホ」への対応が遅れ、ついにサービスは3月31日12時をもって終了となった。
「きせかえゲームが大好きで、プーペが終わってからも色んなきせかえゲームをやったけどどれも物足りない、自由度が低い...」
「プーペはすごかったよ、重ね着ができるゲームなんて他にある? 本気で復活してほしい」
今でも、かつて着せ替えしたプーペを載せる「プーペガール備忘録ブログ」が更新されるなど、ネット上では、惜しむ声がまだ続いている。(随時掲載)