ネットの上では言論の自由が貫徹されているので、筆者にとって都合がいい。予測の当たらない御用学者を筆者が批判したコラム「『御用』の役割すら回ってこない日本の経済学者 まずは大外れ予測の反省を」(ZAKZAK、2016年8月24日配信)が、静かに盛り上がっている。もっとも、この言説はネットで公開する前日、リアルな新聞(夕刊フジ)で掲載されている。
これに対して、「御用学者」からの反論があるはずだが、なかなかネットでは見られない。ただし、「エア御用人」(御用学者になりたいがなれない人で、御用学者のフリしているエセ)からの反論はある。筆者の高橋もインフレ率を外しているというものだ。
インフレ率予測と消費増税の有無
たしかに、金融政策の効果は2年程度であるので、適切な金融緩和をすればインフレ目標2%は2年程度で達成出来ると言った。と同時に、消費増税がもしあれば(インフレ率は)上がらないとも予想している。インフレ率以外では、失業率も3%程度まで低下する、ハイパーインフレにはならない、日銀との統合ベースで見れば政府の財政再建はかなり達成できる、金利は低下する、といったことも予想している。また、可能な限り、予測の根拠となっている定量モデルも書いている。筆者はネット上で公開したものを削除したことはないので、調べてみれば分かるはずだ。
8%への消費増税による予測は筆者の想定通りだったので、インフレ率が上がらないのも、実は想定通りである。「エアご用人」は、筆者の定量モデルを理解できずに、消費増税がなかった場合という一部のみを切り貼りして、筆者を批判しているだけだ。しかも、失業率など他の予測がだいたい外れていないことは一切言わない。
ネット上の「エアご用人」は、今の金融緩和でハイパーインフレになる、消費増税で財政再建すべきとも言っているので、筆者の、ハイパーインフレにならない、実は財政再建が終わっている、金利低下との予測が正しかったことは言わない。「エアご用人」は2010年の段階で日本は財政危機であと3年しか持たないと言っていたのに、2016年の今でも日本はピンピンしていて、「エアご用人」はヤブ医者の典型だ。