婚外恋愛の相手は人生の大切な「栄養剤」
松本氏は「妻への慣れ」と「性的関係の減退」が生じるからだと分析する。彼らの1人が語っている。
「(妻は)生活の中で見ている人やから、普段部屋に下着も干してあるし、風呂から上がった後、そのへんをぴーと歩いている時もあるし......」
「(裸で)ぴーと歩く」という関西弁の表現が妙に生々しい。妻に対するトキメキや性的魅力が薄れていく。そんな中で婚外恋愛相手との出会いは、人生の「栄養剤」になると松本氏は指摘する。「栄養剤」の具体的要素として、「性的満足」はもちろんだが、「ドキドキ感」と「いつもと違う役割」、そして人間としての「成長」が重要だという。たとえば、「いつもと違う役割」とは――。
「彼女が運転する車に乗った時は、幸せだと思った。今まで付き合ってきた人って車の免許を持っていなかった人が多く、いつも運転する側だったんです。ところが彼女は運転をバリバリにこなし、一緒に乗って、別の空間というのか、新しい空間っていうのを感じましたね」
車を運転するのは男という社会的役割、つまりジェンダーからの解放感を味わえるのだ。こうした「ドキドキ感」は妻との日常生活では得られない。また、男性の友人には弱みは見せられないが、様々な悩みも恋人には話すことができ、内面的に「成長」していく。こうして、婚外恋愛で「栄養剤」を得ることで、精神的な余裕が生まれ、妻にも優しく向き合い、愛おしさが増していく。1人はこう語った。
「(妻、恋人両方の)過去をいっぱい知っているじゃないですか。それこそ、子どもの頃のことまで。自分の場合、付き合った人は苦労した人が多いんです。それを知っているので(妻、恋人の)どっちも大切にしなきゃいけないなって気持ちがするんです」