民進党の代表選への出馬を表明した蓮舫参院議員・党代表代行が、2016年8月23日に日本外国特派員協会で開いた記者会見で、「私は岡田克也代表を大好きです。ただ、1年半一緒にいて、本当につまらない男だと思いました」と発言したことが、波紋を呼んでいる。
蓮舫氏は、9月に行われる民進党の代表選の「最有力候補」とされ、岡田代表は蓮舫氏を支持する考えをいち早く表明していた。
「この編集のされ方は残念すぎます」
民進党の蓮舫代表代行は、2016年8月23日の代表選への出馬会見で、安倍晋三首相の経済政策であるアベノミクスを「昭和の時代には機能しましたが、この時代には通じないということを証明した」などと批判。そのうえで、「キーワードは人。人への投資に大胆に振り向けるべき」と語り、民進党の方針として「人への投資」を明確に打ち出すことを掲げた。
民主党政権時の「コンクリートから人へ」という政策との違いを、予算の組み替えによって給付型奨学金や、保育士や介護士の待遇改善を目指すと、子育て支援、教育サポートの姿勢を強調。教育を軸に据える政策を訴えた。
いまの民進党には「残念ながら『信頼』がない」とし、「この代表選を政権選択、二大政党のスタートとしたい。自民党が4割の支持率、われわれは1割しかない。まずは信頼を取り戻す」と語り、「あとは、民進党のイメージを思いっきり、私が代表になることで変えたい」と、自身が代表に選ばれることが、民進党のイメージアップにつながるとの考えを示した。
そうした中で、飛び出したのがこの発言。岡田克也代表について、蓮舫氏は「ここが大事なので、ぜひ編集しないでいただきたいのですが...」と前置きしたうえで、「私は岡田克也代表が大好きです」と持ち上げ、「ただ、1年半一緒にいて、本当につまらない男だと思います」とつづけた。さらに、「人間はユニークが大事です。私にはそれがあると思います」と述べ、記者席からは笑いがこぼれた。
蓮舫氏自身がこの発言を「ユニーク」と思っているのかどうかはわからない。ただ、蓮舫氏は同日付のツイッターで、朝日新聞デジタルの記事を引き合いにして、
「この編集のされ方は残念すぎます。私は『編集しないでほしい』との前提で、岡田代表への敬意を表しました。その上で、ユーモアのない真面目さを現場で伝えたかったのです」
とも語っていた。
伝えたかったのは、「ユーモアのない真面目さ」が岡田代表の姿ということらしい。
代表選で優勢な情勢が言わせた?
とはいえ、これにはインターネットで、
「なんだか不快。『好きだけどつまらない男』って完全に馬鹿にしてるじゃん」
「いくらダメな民主党でも身内を否定しちゃダメ」
「支持者は『よく言った!』と思ってんのかね」
「他者批判は民進党の得意技。蓮舫は違うのかなと思ってたが民進党そのものだった」
「相手を笑わせるのがユーモア。笑われてる奴が言うことじゃない」
「本当につまらない男に、軽くて生意気な女。誰がそんな奴らを支持するん?」
と、蓮舫氏は「ユーモア」のつもりなのだろうが、まったくの逆効果だったようだ。
たしかに、民進党の岡田克也代表のイメージといえば、政治献金だけでなく、支持者からの贈り物も受け取らないとされる「清潔さ」や、「節約」を旨とし、口を真一文字に結んで滅多に笑わない、その姿などから「ロボコップ」ともいわれる「真面目さ」がある。それが面白みに欠けるように見えるかもしれないが、日本語でいう「つまらない男」に当てはまるのかどうか。
そもそも代表選をめぐっては、蓮舫氏は岡田代表からの「支持」を取り付けている。代表候補では、民主党時代に代表の経験がある前原誠司元外務大臣が立候補の意志を固めたとの報道が2016年8月24日に出たほか、長島昭久元防衛副大臣らの名前も取り沙汰される。しかし、岡田代表ら現在の執行部を中心に、赤松広隆前衆院副議長や細野元環境大臣も「蓮舫支援」の意向を示しており、蓮舫氏が優勢とみられる。
おそらく、インターネットでの批判的な声が耳に届いたのだろう、蓮舫氏は8月24日のツイッターで、
「言い方も含め本当にダメだと猛省してます。ご指摘、ありがとうございます」
と神妙だが、代表選での優勢な情勢が、蓮舫に軽口を叩かせる原因なのかもしれない。