沖縄県教育委員会が実施した公立学校の教員候補者選考試験で英語教員向けのリスニング問題が市販の問題集と酷似していた、と報じられている。
県教委側はJ-CASTニュースの取材に「事実を確認中」と答えたものの、受験生の間では以前から「市販の問題集から出題される」と有名になっていたらしい。報道をうけ、ネット上に「いい加減な採用試験」「こんなことあるんだ」と驚き、怒りの声が上がっている。
アマゾンでの評価も高い必須問題集
2016年に実施された教員候補者選考試験の1次試験結果を見ると、中学の英語で受験者222人中合格者23人、高校の英語では受験者121人中8人だ。いずれも「狭き門」といって差し支えない。
しかし、そんな試験が「市販の問題集の引き写し」だった可能性が浮上している。第一報を伝えたのは、沖縄タイムスの電子版。16年8月24日公開の記事によると、15年の英語リスニング試験で少なくとも18問中13問、16年の試験でも18問中8問が「英検1級リスニング問題150」(旺文社)に収録された問題と酷似していたという。06年に発売された同書は10年以上、「必須問題集」として英検受験者に愛用されてきた。アマゾンでの評価も5つ星のうち4.3と悪くない。
沖縄タイムスの別の記事では、沖縄本島中部にある教員採用試験対策予備校の講師が「旺文社の問題集からの出題がここ数年少なくないので、受験生には教材とするよう話していた」と同紙の取材に話し、ある予備校に通う女性も「旺文社の本から問題がよく出ることは、受験生なら知っているはず」などと語っている。
著作権上の問題はないが...
つまり、予備校講師や受験生の間でも「引き写し」は半ば常識になっていたというわけだ。報道は事実なのか。J-CASTニュースが沖縄県教委に取材したものの、担当者は「ただ今、事実確認中です。今はそれしか申し上げられません」としか語らなかった。
教員採用試験と市販問題集の類似点を指摘する報道は今回が初めてのようで、事実とすれば、英語以外の教科ではなかったのかや、どれくらいの期間、おなじようなことが行われていたかが、今後の焦点になってくるだろう。
沖縄タイムスの報道をうけ、ツイッターには
「いい加減な採用試験」
「こんなことあるんだ」
「信じられない」
と怒りの声が上がっている。
ただ、著作権法第36条には「入学試験その他人の学識技能に関する試験又は検定の目的上必要と認められる限度」であれば著作物を複製・公衆送信できる、とあり、「引き写し」は法的に問題ないとも言えそうだ。それで試験の意味があるのかどうかは、また別問題だが・・・。