安倍晋三首相がマリオに扮して現れたリオ五輪での演出について、東京新聞の男性記者が原発事故のある現象を想起したとツイートし、物議を醸している。
ドラえもんが4次元ポケットから出した土管を通って、東京からリオへワープ、そして会場にある緑の巨大な土管から安倍マリオが現れる。
「リオ・シンドローム!」
2020年の東京五輪に向けて16年8月21日(現地時間)の閉会式で行われたサプライズ演出は、ネット上で話題を呼び、好意的な声も多かった。日本のポップカルチャーを代表する人気キャラを次々に紹介したことも、海外のファンらの注目を集めた。
そんな中、東京新聞の男性記者は、22日のツイートで一風変わった見方を披露した。「東京からリオへワープ」というシナリオについて、この記者は、「メルトスルーを想起した」というのだ。メルトスルーとは、核燃料がメルトダウンして原子炉の底を突き破ってしまう現象を指す。
そして、記者は、次のようにツイートを続けた。
「原発事故で高温の核燃料が地中にのめりこみ、地球の裏側へ...リオ・シンドローム!」
リオ・シンドロームとは、1979年に公開されて話題になった米映画「チャイナ・シンドローム」をかけた表現のようだ。映画では、メルトスルーした核燃料が地中にめり込んで、アメリカから地球の裏側にある中国にまで到達してしまうというブラックジョーク的な意味で題名の言葉が使われていた。
東京新聞の記者は、政府の原発政策をツイッターで度々批判しており、ネット上では、今回も安倍マリオを揶揄してつぶやいていると受け止められた。1000件以上もリツイートされ、疑問や批判が次々に寄せられて炎上している。
共感もあるが、ネット上では発言への批判が相次ぐ
「何でメルトスルーに話が飛躍しちゃっているわけ?」
「福島県民の気持ちを全く考えてませんね」
「さすがに笑いを通り越して心が冷え切るな...」
もっとも、「本人は笑える冗談のつもりなんでしょう」といった指摘はあり、音楽評論家の高橋健太郎さんは、ツイッターで「これ思ったなあ」と共感を示した。安倍マリオが手にしていた赤い球体についても、「地球の裏側まで抜け落ちた高温デブリ」を連想させるとした。
不謹慎だとする批判については、「お祭りなんだから、イメージも開放しないと」と反論している。
一方、米大手紙のニューヨーク・タイムズは、電子版の8月22日付記事で、安倍マリオのサプライズ演出を取り上げ、日本のツイッター上の反応の1つとして東京新聞記者の発言を紹介した。欧米メディアには、安倍マリオを揶揄するような報道もある。