子どもの脳の発達は6歳までが勝負 ママの愛の深さで成長に2倍の差!

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   幼児期の母親の愛情が子どもの脳の発達に大切だとよくいわれるが、母親から愛情深く育てられた子どもは、冷たく突き放されて育てられた子どもに比べ、脳の成長が2倍以上早いことが脳画像の分析で明らかになった。

   しかも、この差は6歳までの母親の育児スタイルでほぼ決まってしまうという。米ワシントン大学医学部などの研究グループが、米科学アカデミー紀要(電子版)の2016年4月25日号に発表した。

  • 母の愛情で子どもは賢くなる
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母子を同じ部屋に入れ、母親をイライラさせると...

   研究では、調査開始時点で3~5歳の127人の子どもの脳の発達を、13~15歳の思春期になるまで、計3回にわたりMRI(核磁気共鳴画像法)で脳をスキャンし追跡調査した。

   まず、就学前の時点で母親の子どもに対する接し方を調べるために、実験ルームに母子一緒に入ってもらい、次のような実験を行なった。

   (1)子どもには、小さい子が喜びそうなプレゼントが入った箱を与える。ただし、「実験が終わるまでは開けてはいけない」と母親を通じて命じる。

   (2)母親には、事務作業の課題をいくつか与え、制限時間内に終わらせるようにする。子どもはプレゼントの箱を開けたがって騒ぎ立てるが、母親はそれを上手になだめながら、自分の課題をこなさなければならない。

   研究リーダーで、セントルイス子ども病院の児童精神科医ジョアン・ルビーさんは、この実験のねらいをこう説明する。

「晩ご飯の仕度をし、料理が吹きこぼれそうになっているのに、子どもがかまってほしいと騒ぎまくる――。日常生活の中で何度も起こる光景の再現です。かなりのストレスを与えられた状況下で、母親が子どもにどう接するか。愛情深く相手をしてあげるか、イライラして懲罰的な行為をとるか。それを見ることで、母親の我慢強さ、思いやり、支える力、共感力、包容力など育児に必要な能力を測ることができます」

   実験ルームでの母子の様子を録画ビデオにおさめ、複数の児童教育専門家が見て、細かく母親の「育児力」を採点した。また、この最初の実験時に子どもの脳をMRIに撮り、記録した。その後、子どもが小学校に入学し思春期になるまでの間に、同様の母親の「育児力」テストと子どもの脳の画像撮影を2回行ない、比較した。

「愛情ママ」の子は学習をつかさどる海馬が2倍大きい

   その結果、就学前の母親の「育児力」のスコアが高かった子どもほど、脳の海馬の発達がよいことがわかった。海馬は、学習や記憶に深く関係している器官だ。人間の記憶には2つの器官が関わっている。海馬と大脳皮質だ。新しい記憶は最初に海馬に蓄えられる。その後、ふるいにかけられ、大切な記憶は大脳皮質に移動し保存され、大切ではないものは忘れ去られる。だから、海馬が発達した子どもほど学習能力が高いということになる。

   母親の「育児力」スコアが平均以上の子どもと平均以下の子どもの海馬の容積を比べると、最高点クラスと最低点クラスでは、大きさに2倍以上も差が開いた。しかも、就学前は子どもに冷たく当たっていた母親が、その後、子どもに思いやりを持って接するように変わっても、海馬の容積の差はあまり縮まらなかった。海馬の成長スピードは就学前にほぼ決まってしまうのだ。

   今回の結果について、ルビーさんはこう語っている。

「子どもの脳の発達には、初期の段階での母親の対応が極めて大きな影響力を持っていることがわかりました。海馬の成長は、記憶や学習能力だけではなく、他人への思いやりや社交などの情緒的な側面の発達にも関係します。現代の母親は忙しくなっており、愛情を持って子どもに接するのが難しくなっています。社会が母親をサポートする体制づくりが必要です」
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