女の子より男の子の運動能力がアップ
(1)知能検査と全体的な発育状態については、両グループの間に違いはみられなかった。
(2)しかし、発達性強調運動障害検査と両親への聞き取り調査結果を分析すると、3分後に切った子どもの方が、細かい運動能力や社会性・協調性の点で、わずかだが優れていた。
(3)その運動能力や社会性・協調性の差は、男の子の方が明らかに大きく、女の子の方は小さかった。これは、男の子は女の子に比べると、生まれた時に鉄分が足りないことが多いため、へその緒を遅く切った効果が表れやすいとみられる。
この結果について、アンダーソン博士は「へその緒を切る前に3分間待つことで、母体の血液が100ミリリットルほど新生児に流れ続けます。これは大人の2リットル分もの血液量に相当するものです。世界中の多くの地域で、へその緒は出生後すぐに切ってしまいますが、臍帯血に含まれている鉄分を受け取り損ねてしまうため、新生児は貧血になりやすくなります。特に貧しい国々では、子どもの成長に深刻な影響を与えます」と語っている。
実は、同様な研究は2014年に英国でも行なわれた。3911人の新生児のへその緒を出産後3分たってからカットした。その後、半年間経過を観察すると、ヘモグロビン値が赤ちゃんの平均より高くなり、鉄分欠乏症になる割合が減ったという。この研究を受け、2015年に英国国立医療技術評価機構(NICE)は、出産後1~3分間はへその緒を切らないことを推奨する新たなガイドラインの検討に入ったという。