首都圏マンションが売れなくなった 契約率63%、販売価格も下落

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3カ月連続で在庫増、このまま積み上がると...

   一方、高止まりが続いていた首都圏マンションの平均販売価格は、2016年7月に、前年同月と比べて1戸あたり約297万円(5%)下落の5656万円となった。販売価格はこの4月まで11か月連続で上昇していたが、5月から下落に転じている。

   ただ、銀行の住宅ローンが超低金利にあるとはいえ、エンドユーザーにとっては「買おう」という意欲が沸くにはもう一段値下がりしてほしい水準かもしれない。

   これまで、首都圏のマンション市場をけん引してきたのは、中国をはじめとした海外投資家だ。ところが、そんな海外投資家も「様子見」をはじめていて、そのことを変調の要因と見る向きもある。

   背景には円高があるが、最近は投資のリターンを得ようと物件を売り出すケースも出てきたとの指摘もある。物件価格の上昇への期待感が薄れていて、投資的な魅力が乏しくなっているようだ。

   同じように、国内富裕層の購入意欲も鈍っている。これまでは「タワーマンションが相続税の評価額を低く抑えられる」ともてはやされてきたが、こうした節税への監視が強化されており、こちらも様子見を決め込んでいるとされる。

   そうしたなか、前出の不動産経済研究所の松田忠司氏は、2016年7月の在庫数が前月と比べて368戸も積み上がったことに注目している。在庫数の増加はこれで3か月連続。「在庫の増加はよくないことではあります。この状況が続くと在庫過剰の危ない状況になりかねません」と指摘する。

   在庫が増え続ければ、新規物件の発売スケジュールが遅れるだけでなく、販売価格が値崩れする恐れも出てくる。すでに16年は、前年のように「億ション」が発売される予定もないため、潮目が変わりつつあるといえないこともない。

   松田氏は「都心では大型の目玉物件が出さえすれば、70%の契約率を確保できると思います。ただ、それがないと...」と、言葉を濁す。このまま、マンション販売が変調をきたしてしまうのかどうかは、「秋商戦の状況次第」とみている。

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