「甲子園で吹けるなんてうらやましか」
いったい真相はどうなのか。吹奏楽部の顧問教員は8月18日、J-CASTニュースの取材に「学校側が甲子園の応援を部員に強制したことは一切ありません」と話した。
南九州大会を主催する全日本吹奏楽連盟から「県予選で勝ち上がれば、南九州大会に必ず出場しなければいけない」と念を押され、同校の教員は2時間半に及ぶ職員会議を実施。
「吹奏楽部はコンテストを優先すればいい。甲子園の応援は残った人間でやればいい。あとは生徒の意向を尊重する」
と結論を出した。これをうけ、3年生の吹奏楽部員6名を中心に話し合いがもたれた。最初はどっちつかずな部員が多かったものの、意見の違いは表面化せず、自然に甲子園応援でまとまったという。
学校側の結論に反してでも生徒が甲子園応援を望んだ理由は何なのか。
「うちは応援団もチアも、部活としては存在しません。チアは色んな部活の希望者が集まって結成されています。そのため、吹奏楽部が甲子園に行かないと応援がまとまらないわけです。『テレビ中継もある場で、吹奏楽もチアもないのはかっこ悪い』。生徒からはそんな意見も出たようです」
また、同校の吹奏楽部が、仮に南九州大会で勝ったとしても、そこから全国大会への出場はできないグループに入っていたことも影響したようだ。
「『コンテストはまた来年出られるけど、甲子園で吹けるのは県内の1校だけ』。そう部員は話していました。他校の生徒から『甲子園で吹けるなんてうらやましか』と声をかけられた部員もいるようです」
加えて、「経済的な問題」も生徒の決断を左右したと顧問は話す。
「熊本地震で、家の建て直しなどにお金がかかっている家庭もあります。南九州大会の沖縄遠征にかかる費用は1人8万円ほど。『苦しい』というのが本音だったのでしょう」
何はともあれ、自分たちの「意思」で甲子園へやってきた吹奏楽部員。次の準決勝戦で、決勝進出をかけた応援曲を演奏する。