体外受精を受けても乳がんは大丈夫 「危険」と言われ続けた心配に終止符

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排卵剤は乳がんの元凶・女性ホルモンを分泌するが...

   体外受精による不妊治療では、ホルモン剤の飲み薬や注射で卵巣を刺激して排卵を誘発し卵子を取り出すことが多い。ただ、卵巣を刺激すると女性ホルモンのエストロゲンやプロゲストロゲンが分泌されるため、長期的に乳がんの発症リスクが高まるという指摘が以前からあった。というのは、乳がんの発症には女性ホルモンが深く関わっていることがわかっているからだ。

   このため、多くの国で体外受精と乳がん発症リスクの関連の研究が行なわれてきた。しかし、体外受精が普及し始めたのが1980年代後半からで、当時、体外受精を受けた人の多くが、現在、まだ乳がん発症年代(50代半ば以降)に達していないため、長期間追跡する調査ができていなかった。

   そこで、研究グループは、早くから体外受精を行なってきたオランダの不妊治療専門クリニック12施設の協力を得て、1983~1995年に体外受精を受けた女性1万9158人(年齢中央値53.8歳)と、1980~1995年の間に体外受精以外の不妊治療を受けた女性5950人(年齢中央値55.3歳)のデータを分析した。

   そして、55歳時点までの乳がんの発症率を比較すると、体外受精を受けた人が3.0%、受けていない人が2.9%で、統計学上意味のある差ではなかった。つまり、体外受精を受けても乳がんの発症には影響がないというわけだ。また、不妊治療に使われる薬の種類によるリスク差も認められなかったという。

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