異例の「天皇陛下万歳!」 戦没者追悼式での「発声」に意見さまざま

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   71回目の終戦の日にあたる2016年8月15日に政府が東京・北の丸公園の日本武道館で開いた全国戦没者追悼式で、参列者から「天皇陛下万歳!」の声があがる一幕があった。

   式場を退出しようとしていた天皇皇后両陛下は足を止め、参列者席の方を振り向いて会釈すると、式場では大きな拍手が起こった。天皇陛下が8月8日にビデオで公表した「お気持ち」で退位の意向を示唆してから、皇居の外で公務を行うのは初めてだっただけに、天皇陛下に特別な思いを抱く参列者がいた可能性もある。ただ、戦争や災害の犠牲者を追悼する式典で「万歳」の声があがるのは異例で、ネットでは様々な意見もあがっている。

  • 「天皇陛下万歳!」の声に応えて参列者席を振り返る天皇皇后両陛下
    「天皇陛下万歳!」の声に応えて参列者席を振り返る天皇皇后両陛下
  • 参列者席(写真右)から起こった拍手に見送られる形で、天皇皇后陛下(写真左)は式場を後にした
    参列者席(写真右)から起こった拍手に見送られる形で、天皇皇后陛下(写真左)は式場を後にした
  • 「天皇陛下万歳!」の声に応えて参列者席を振り返る天皇皇后両陛下
  • 参列者席(写真右)から起こった拍手に見送られる形で、天皇皇后陛下(写真左)は式場を後にした

大手メディアはどこも報じていない

   式典では、正午の時報直後に天皇陛下が読み上げる「お言葉」では、2年連続で続いて「深い反省」が表明された。衆参両院の議長と最高裁判所長官、戦没者遺族代表による「追悼の辞」が終わり、両陛下が退出しようとした時にハプニングが起きた。両陛下は塩崎恭久厚労相の先導で檀上の席を離れ、式壇と参列者に一礼。天皇陛下が皇后陛下の腕を取りながら出口につながるスロープを下り始めたときに、参列者から「天皇陛下万歳!」という声があがった。

   直後に天皇陛下は立ち止まり、後ろを振り返って参列者席に改めて2回頭を下げた。その間も「万歳!」と叫ぶ人が続出。ほどなく式場中で起こった拍手に見送られる形で、両陛下は式場を後にした。

   15年の式典では、わずかに拍手のような音は聞こえたものの、「万歳」を叫ぶ人もおらず、両陛下は檀上から立ち止まることなく式場を退出している。追悼式を主催する厚生労働省によると、ここ4、5年は「万歳」の発声はなかったというが、その前については「わからない」としている。追悼式を生中継していたNHK(総合テレビ)は、天皇陛下の「お言葉」で中継を打ち切っており、「万歳」はテレビではBSでしか中継されなかった。また、大手メディアは16日現在、ほとんど「万歳」を報じていない。

   J-CASTニュースが15日に、「万歳」の模様も含めて報じると、Yahoo!のコメント欄などには、

「哀悼の席で万歳は如何なものか・・・」
「TPOをわきまえることのできないかわいそうな人なんでしょうね」

などと式典での振る舞いとしては不適切だという声が相次いだ。

   一方で、天皇陛下が参列者席を振り返り、その後に拍手が起きる一連の流れを踏まえて

「国民の両陛下への敬愛の念を実感して胸が熱くなった」

とする声もあった。

   天皇陛下の「お気持ち」表明からわずか1週間後の「お言葉」だっただけに、例年と比べて特別な思いで「お言葉」を受け止めた人も多そうだ。

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