株価は2年前に逆戻り
中国人観光客をはじめとした訪日外国人の「爆買い」に変調の兆しが出ていることは、観光庁の「訪日外国人消費動向調査」(2016年7月20日発表)でも明らかだ。4~6月の1人あたりの消費額は15万9930円で、前年同期から9.9%減った。
なかでも中国は22万円となり、22.9%もの大幅な減少。円が元に対して前年より15%超も高い水準だったのに加えて、中国政府が4月から、海外で買った商品に課す関税の引き上げで、高級腕時計(30%から60%)や家電製品(20%から30%)などが敬遠されるようになった。前年からの落ちこみは、尖閣諸島問題で日中関係が冷えこんだ2012年10~12月を上回るほどという。
こうした「爆買い」需要の変化は、ラオックスの株価にも大きく反映されている。ラオックス株は、英国の欧州連合(EU)離脱決定後の2016年6月28日には円高の進展もあって、終値で604円まで急落。その後はじわりと上げてきたものの、8月15日の終値は前日(12日)比22円高の711円で引けた。
じつはこの株価水準は、2年前(14年8月15日終値690円)とほぼ同じ水準にあたる。株価は「爆買い」を背景に2015年に高騰し、同8月14日にはなんと5290円の、ケタ違いの高値を付けていた。16年1月4日につけた年初来高値でも2400円。現在の株価は、その「爆買い」バブルがすべて消えたというわけだ。
中国人を含む訪日外国人はなお増加傾向にあるものの、訪日中国人においては日中関係の緊張が再び高まる兆しもあり、「爆買い」どころか、減る可能性がないとはいえない。
今後のラオックスの黒字化への道のりが注目される。