妊娠すると体調が大きく変化し、妊娠前には考えられなかった体のトラブルに見舞われることがある。そのなかでも特に注意したいのが「妊娠糖尿病」だが、週に3回程度の軽い運動で簡単に防げることがわかった。
ノルウェー科学技術大学の研究チームが、米医学誌「PLOS Medicine」(電子版)の2016年7月27日号に発表した。
流産・早産や発育不全を引き起こす怖い妊娠糖尿病
妊娠中は胎児に糖分の栄養補給を行なう必要があるため太りやすくなり、血糖値が上昇し「妊娠糖尿病」になりやすくなる。約12%の妊婦が発症するという統計がある。また、「妊娠高血圧」にもなりやすくなる。妊娠糖尿病や妊娠高血圧が悪化すると、流産・早産を引き起こしたり、胎児の発育不全や機能不全を起こしたりする可能性が高いので注意が必要だ。
研究チームは、91人の妊婦を次のように運動をするグループと運動をしないグループの2つにわけ、出産前まで血糖値や血圧、健康状態を調べた。
(1)トレッドミル(ランニングマシン)上での軽いウォーキング(35分間)と筋肉トレーニング(25分間)を週に3回、トレーナーの指導のもとで行う46人。
(2)特に運動を行わずに標準的な妊婦管理(産前ケア)を行う45人。
その結果、妊娠糖尿病を発症したのは、運動グループでは2人(4.3%)だけだったが、運動をしないグループでは9人(20%)と約5倍になった。また、運動グループは、していないグループより血圧が低かった。
たとえすべての運動メニューこなさなくても
同大のトリーネ・モホルディット教授はこう語っている。
「運動は、参加者の誰もができる、強度がとても軽いものでした。また、参加者全員がすべてのメニューをこなしたわけではありません。時間がなくて一部できなかった人もいます。それでも、簡単な運動が妊婦の健康効果に大きな影響を与えることがわかりました。妊娠糖尿病は、さまざまな合併症を引き起こす心配があります。運動を制限する医学的な理由がない限り、妊娠中も運動するようアドバイスすべきです」