イタリアの国会で、子どもに「健全でバランスのとれた成長に欠かせない栄養素を含まない食事」を与えた親に法的責任を問うことができる法案が議員立法で提出され、審議が始まった。2016年8月10日、ロイター通信など複数の海外メディアが報道した。
具体的には「完全菜食主義」を子どもに強要する親が対象となる。菜食主義(ベジタリアン)は欧米を中心に広がっているが、その中でも特に厳格な食品制限は以前から子どもの発育への影響が指摘されていた。
「一部の親が狂信的に、正しい科学的知識なく...」の事例も
法案を提出したのは、7歳の息子を持つエルビーラ・サビーノ議員(39)。ロイター通信の取材に対し、「大人が自由に選択している限り、完全菜食主義には反対しません。ただ、一部の親がほとんど狂信的に、正しい科学的知識や医師への相談もなく、自らの意思を子どもに押し付けるのはばかげていると思います」と語った。
ベジタリアンにも様々な食べ方があり、完全に植物食品しか食べない人から、植物食品が中心だが牛乳や乳製品は食べるタイプ、さらに卵まで食べるタイプなどがあり、欧米のベジタリアンの大半は乳製品と卵を認めるタイプといわれる。完全菜食は、乳幼児の生育に必要なタンパク質とカルシウム不足が指摘され、野菜嫌いの子どもの場合は虐待につながると問題視されてきた。
提出された法案では、完全菜食で子どもを育てると禁固1年、慢性的な健康被害が生じた場合は最大で禁固4年、死に至った場合は最大で禁固7年を科すとしている。