癖になる可能性はあるのか
実は、熱中症の症状はさまざまある。環境省が2014年に作成した資料『熱中症の発生機序および予防・対処法』には、
「暑熱環境に居る、あるいは居た後の体調不良はすべて熱中症の可能性がある」
と書かれている。特に熱中症と判断するポイントとして「意識障害の程度、体温、発汗の程度などは、短時間での変化が大きい」としている。
風邪に似た症状もあるが、吉井氏は「風邪の場合、熱中症には見られない上気道炎症状、消化器炎症状が先に起こったり、合併したりしていることが多いので、熱中症との鑑別はそれほど難しくありません」と話す。疑わしい症状が出たら、医療機関で診断を受けてほしいという。
医療情報サイト「メンズスキンケア大学」の16年7月1日付の記事でも、吉井氏は「寒気があり、さらに発汗もピタッと止まってしまったら、かなり危険な状態です」とし、この場合「意識があったとしても、すぐに救急車を呼び、医療機関に搬送すべきです」と注意を呼びかけている。
また、有吉さんは先述のラジオで、「1回熱中症になると、癖になるって言うんだよ。注意していても毎年かかりやすくなるんだって」と不安をもらしていた。この点を吉井氏に尋ねると、「癖になることは、ないと考えます」としながら、
「なりやすい素因、体質というのはあると思います」
と答えた。
医療機器メーカー・テルモのウェブサイト「テルモ体温研究所」に掲載されたデータ「年齢別・性別でみる熱中症死亡率(1968~2004年)」をみると、熱中症による死者のうち男性は全体の7割を占め、しかも20歳から50歳までは年齢が上がるのに比例して死者数が増えている。同じ環境下で、同じ運動量、水分補給量だったとしても、特に男性は年齢が高くなると熱中症にかかりやすくなるのかもしれない。
有吉さんは中学と高校で運動部に所属しており、体力に自信があったため「熱中症になんてなるわけないと思っていた」そうだ。たとえ今までは大丈夫だったとしても、油断せずに水分・塩分を随時補給するようにしたい。