出光経営陣が青ざめた 「想定外」の創業家「奇策」

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業界再編は不可避との見方が大勢

   浜田氏の記者会見を受け、出光の月岡隆社長はすぐに昭和シェルの亀岡剛社長のもとを訪れ、予定通りの統合を目指す方針を確認したもようだ。だが、当初の計画を変更してTOBを行えば、RDS以外の多くの株主からも株式売却希望が寄せられ、取得費用が膨らむのは必至。さらに、「対等の精神」での統合を求めている昭和シェルも、TOBには「一方的に買収される」かたちになることから、難色を示すとみられる。出光経営陣を窮地に追い込む創業家の「奇策」について、出光幹部は「まったく想定していなかった」と青ざめるしかなかった。

   こじれにこじれた事態の打開は容易ではなく、市場では「創業家を説得する以外に手がない」(アナリスト)との声がもれる。出光経営陣は引き続き、創業家に協議のテーブルに着くよう呼びかけているが、創業家側は経営陣が昭和シェル株の取得方針を撤回しない限り、協議には応じないと態度を硬化させているという。

   ただ、創業家側の主張通りに経営陣が昭和シェルとの統合を断念し、単独路線を採ったとしても、将来安泰とはいえない。国内の石油需要が縮小し続ける中、石油元売り業界では供給過剰による安値競争が激化している。業界1位のJXホールディングスと同3位の東燃ゼネラル石油も経営統合計画を進めるなど、業界再編は不可避との見方が大勢で、経済産業省もこの流れを後押ししてきた。出光の生き残りにとって何がベストなのか、最も重要な議論は置き去りにされたまま、創業家と経営陣の消耗戦が続いているのが現実だ。

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