稲田朋美防衛相が、例年行っている8月15日の靖国神社参拝を、2016年は見送ることになった。13~16日の日程でアフリカのジブチを訪問することが12日の持ち回り閣議で了承されたためだ。
防衛相就任から初めて終戦の日を迎え、靖国参拝を続けるかどうかに注目が集まっていた中での見送り。稲田氏自身も無念さをにじませ、保守派の政治関係者からは落胆の声が漏れた。
2006年以降、毎年8月15日に参拝
稲田氏は、ソマリア沖の海賊対策にあたる海上自衛隊の拠点を視察するため、ジブチへ向かう。13日夜にも日本を出発する予定で、防衛相として初めての外国訪問になる。
これに伴い、8月15日の靖国参拝は見送られることになる。稲田氏は05年9月に衆議院議員に初当選し、翌06年以降、毎年参拝を続けていた。12年の第2次安倍政権発足後も、行政改革担当相だった13、14年、自民党政務調査会長だった15年と、重要ポスト歴任中もその姿勢は変わらなかった。
稲田氏は石川県小松市で12日、靖国神社参拝について、記者団に対して
「この靖国の問題というのは心の問題であって、そして、私自身としては、安倍内閣の一員として、適切に判断していきたいと思っております」
と話した。
外遊を8月15日に重ねたのは、参拝に反対する中国や韓国に配慮しつつ、「物理的に参拝できなくなった」という体を取ることで、参拝を支持する国内保守層からの批判を回避するねらいだという見方も出ている。また、中国政府は外交ルートを通じ、防衛相に就いた稲田氏に靖国を参拝しないよう要請したとの報道もある。一部から「内政干渉だ」との批判も出る一方で与党内からは稲田氏に見送りを促すような声も出ており、稲田氏の決断が注目されていた。