経団連は、現在の大学3年生が対象となる2017年(18年春入社)の就職・採用活動日程を16年から変更しない方向で調整に入った。ころころ変えることによる学生や企業の混乱を避けるため。経団連は会員企業などと調整した上で16年10月にも正式決定する。
2016年(17年入社)は、就活スタートとなる企業説明会の解禁が3年生の3月、面接解禁は4年生の6月、内定解禁が4年生の10月となっており、17年もこのままの日程で実施するという。「3年連続の見直しだけはどうしても避けたかった」(関係者)ほか、多くの企業が説明会の会場を1年前から予約しており、今の時期の見直しとなれば混乱を招く恐れもあるという事情も考慮した。
「短期決戦で緊張感を持って進められた」と評価も
就活日程については、学業に専念させるべきだという安倍晋三政権の意向を受け、2015年に会社説明会をそれまでの3年生の12月から3月へ、面接解禁は4年生の4月から8月へとそれぞれ繰り下げた。ところが、学生側からは「就活期間が長期化した」「猛暑の中での就活はきつい」といった不満が噴出した。
また、中小企業から内定を得ていた学生が、後から採用活動が始まる大手企業にも受かり、中小企業の内定を蹴るケースが多発。中小企業からは「大手に学生を奪われてしまう」などと悲鳴があがっていた。
こうした声を受け、経団連は活動期間を短縮することで学生の負担を軽減させようと、2016年の面接解禁を8月から6月へと2か月前倒しした。2年連続の変更には学生や企業から「ルールが毎年変わり、対応するのに大変」「会社を知ってもらうために説明会も前倒ししてほしい」といった不満もあった。
しかし、実際に就活が始まると学生や企業からは「短期決戦で緊張感を持って進められた」などと評価する声も出ている。今回の据え置きも「混乱なく進められる」と歓迎する企業もある。
ただし、就活ルールは経団連加盟企業を対象にした拘束力のない「紳士協定」。加盟していない外資系や中小企業を縛ることはできない。ルールを順守している企業からは「ルールが関係ない外資や新興企業に優秀な学生をもっていかれる」「会員企業にも抜け駆けしている企業がある」といった不満も出ている。
関係者の利害得失が複雑に絡み合い、さまざまな課題があるだけに、「最良のルール」への道は、一筋縄ではいかないようだ。