中国が日本を一転「称賛」 「尖閣沖、漁船員を救助」で何が起きた

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   2016年8月11日に沖縄県の尖閣諸島沖で起きた中国漁船の沈没をめぐり、中国外務省の対応が微妙に変化している。この日、中国外務省は2回声明を出し、1回目は、日中当局による「適切な対応を望む」という、どこか他人事のような内容だった。ところが、2回目は日本側の「協力と人道主義の精神を称賛する」という表現が加わった。

   8月に入ってから多数の中国公船が尖閣諸島周辺に集結していただけに、中国のネット上では「中国公船は何をしていたのか」といった声が続出。世論を背景に軌道修正を余儀なくされた可能性もありそうだ。

  • 衝突事故は魚釣島北西約67キロメートルの公海上で起きた(海上保安庁提供)
    衝突事故は魚釣島北西約67キロメートルの公海上で起きた(海上保安庁提供)
  • 中国漁船の乗員6人が救助された(海上保安庁提供)
    中国漁船の乗員6人が救助された(海上保安庁提供)
  • 中国漁船と超突したギリシャ船籍の貨物船「アナンゲル・カレッジ」(海上保安庁提供)
    中国漁船と超突したギリシャ船籍の貨物船「アナンゲル・カレッジ」(海上保安庁提供)
  • 衝突事故は魚釣島北西約67キロメートルの公海上で起きた(海上保安庁提供)
  • 中国漁船の乗員6人が救助された(海上保安庁提供)
  • 中国漁船と超突したギリシャ船籍の貨物船「アナンゲル・カレッジ」(海上保安庁提供)

「中国公船は何をしていたのか」と中国ネット炎上

   第11管区海上保安本部(那覇市)の発表によると、8月11日の早朝5時32分頃、尖閣諸島周辺海域を領海警備中の巡視船が「国際VHF」と呼ばれる無線で遭難通信を受信し、巡視船と航空機が魚釣島北西約67キロメートル公海上の現場海域に向かった。

   遭難通信を発信したギリシャ船籍の貨物船「アナンゲル・カレッジ」(10万6722トン)によると、貨物船と中国漁船の「ミン晋漁05891」(ミンは門構えに虫)が衝突。漁船に乗っていた14人の乗組員のうち、海保が6人を救助した。現場海域で漁船は見当たらず、沈没したとみられている。残る8人の安否は不明。

   日本の外務省は11日午前、救助の事実とともに

「日本政府から中国政府に対し、東京及び北京の外交ルートで通報したところ、先方からは謝意が表明されました」

と発表している。

2回目の声明では日本側への「称賛」の文言加わる

   一方の中国側は、中国外務省の華春瑩・副報道局長が

「中国人の船員6人が救助された。中国と日本の公船が、行方不明者の捜索を全力で行っている。中国と日本の海洋当局が引き続き協力し、緊急事態への適切な対応を望む」

との談話を発表したが、夜になって

「8月11日夕方、日本側に救助された中国人船員は中国側に引き渡された。中国公船は引き続き、事故が起きた海域で行方不明者を捜索中だ。中国側は、救助での日本の協力と人道主義の精神を称賛する」

と改めて談話を発表。日本側への「称賛」の文言が加わった。

   「環球時報」など中国メディアは総じて事実関係を淡々と伝えている。ただ、11日午後の段階では、記事のコメント欄には

「中国漁船が危機のとき、中国公船はどこにいたのか」
「人道支援の面では、今回は日本に敗れた」
「なぜ助けに行かなかったのか」
「なぜ日本人が助けるまで待っていたのか」

といった中国側の対応を非難する声が多数書き込まれていた。

   8月に入ってから、尖閣諸島周辺の接続水域では約 200~300 隻の漁船が操業し、最大15 隻という多数の中国公船も同じ海域に集結。8月5日から9日にかけて、公船だけで延べ28隻が領海に侵入していた。ただ、10日から12日朝にかけては公船の領海への侵入は確認されていない。

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