リオデジャネイロ五輪の体操男子個人総合で銀メダルとなったウクライナのオレグ・ベルニャエフ選手(22)に対し、「とくダネ!」(フジテレビ系)司会者の小倉智昭さん(69)が放った一言がインターネット上でヒンシュクを買っている。
ベルニャエフ選手は2016年8月10日(日本時間11日)の決勝戦で内村航平選手(27)と激戦を交わし、最終種目の鉄棒で内村選手に逆転負けした。
ベルニャエフ選手の鉄棒演技に「勝てるわけない」
11日放送の「とくダネ!」では、現地で決勝を見ていた小倉さんと中継をつないだ。開口一番、応援のしすぎで声がかれてしまったことを明かしつつ、「今日はそっち(スタジオ)にマイク渡さないかもわからない。しゃべりたいことが山ほどある」と興奮気味に語り始めた。
床、あん馬、つり輪、跳馬...と種目順に2人の得点や差を振り返る中、平行棒のベルニャエフ選手の演技については
「え!これで16.1(点)がつくんだっていう高得点を出した差が広まった」
と解説。平行棒はもともと彼の得意種目であり、決勝では高難度の技をいくつも成功させたのだが、それでも小倉さんは、あまりの高得点に驚いたようだ。
平行棒終了時点で、首位のベルニャエフ選手は2位の内村選手に0.901点差をつけていた。最終種目は内村選手の得意な鉄棒。先に演技した内村選手は、手放し技を次々決め、完璧な着地で15.800点の高得点をマークした。そして最終演技者だったベルニャエフ選手の結果は14.800点。わずか0.099点差で内村選手が大逆転勝利を決めた。
そんなベルニャエフ選手の鉄棒について、小倉さんはこう力説した。
「ベルニャエフのほうは、はっきり言うと鉄棒のまわりをただ回ってただけ。守りに入っちゃってたから、勝てるわけないです。これで15点ついたらおかしいぞって思ったら、やっぱりそのジャッジというのは正確なものですね。14.8しかつきませんでした」
その上で「堂々の逆転優勝だったですね、もう嬉しくて嬉しくて!」と喜びいっぱいに内村選手の金メダル獲得を祝した。
「小倉さんの発言ないわ、、、」「最高のライバルに対して失礼」
だが、小倉さんの「ただ回ってただけ」という発言は視聴者に歓迎されなかったようだ。放送直後からネット上には、
「小倉さんの発言ないわ、、、」
「失礼すぎてほんま腹立った」
「ちょっと小倉さん!最高のライバルに対して失礼ではないか?」
「うれしいのはわかるけど正々堂々と戦った選手に対してリスペクトがないなら何も発言するな」
といった批判的なコメントが相次ぎ投稿されるようになった。
手放し技中心の内村選手とひねり技中心のベルニャエフ選手を比べると、一見すれば前者は派手で、後者は地味に感じられるかもしれない。小倉さんの目に「ぐるぐる回ってただけ」に映ったのもそのせいだろう。
しかし、ひねり技メーンの構成が「守り」かというとそうではなく、アテネ五輪で団体チームの主将を務めた米田功さんは「ベルニャエフの鉄棒は、ひねり技が多く減点されやすい構成」と日刊スポーツ内のコラムで語っている。地味に見えてもリスクの高い構成だったようだ。
ベルニャエフ選手といえば、試合後の記者会見で海外メディアが内村選手に「審判から好意的にみられているのでは」と質問した際、「スコアはフェアで神聖なもの。航平さんはキャリアの中でいつも高い点をとっている。今のは無駄な質問だ」と反論したことで、「内村リスペクト」の態度を示したと、日本で好感を持って受け止められている。