柔道「銅でご免なさい」の空気感 五輪選手が可哀想?

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   リオ五輪に出場している日本の柔道選手が銅メダル獲得でも謝罪して悔しがることが、ネット上で論議になっている。素直に喜ぶべきなのか、やはり金メダルでないとダメなのか――。

   「申し訳ない気持ちでいっぱいです」。日本選手のメダル第1号になった柔道女子48キロ級の近藤亜美選手(21)は、2016年8月6日の3位決定戦で勝って銅メダルを得たものの、こう漏らして悔し涙を浮かべた。

  • 柔道家からも指摘が
    柔道家からも指摘が
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「一般人は謝れなんて思ってもない」との声も

   その後も、日本の柔道選手は、次々に銅メダルを獲ったが、うれしさを爆発させる姿はテレビ映像では見当たらない。9日も、銅メダルになった柔道男子81キロ級の永瀬貴規選手(22)は、「金しか狙っていなかった」と悔しさを隠し切れなかった。

   この日は、日本の競泳陣が男子800メートルリレーで銅メダルとなり、52年ぶりのメダル獲得を喜ぶ萩野公介選手(22)らの姿がテレビで流れた。それだけに、柔道との「明暗」が際立っていた。

   ネット上では、「柔道の母国である宿命」といった指摘もあるが、ニュースのコメント欄などに、銅メダルでも謝罪する日本の柔道選手に疑問や批判も寄せられている。「一般人は、謝れなんて思ってもない」「すいませんと謝ることをやめて」「銀や銅でも取れたら喜んでほしい」といった意見だ。

   バルセロナ五輪の柔道女子銀メダリストの溝口紀子さん(45)はツイッターで、「私も現役時代『銀じゃ銅じゃダメなんです』と思っていました」としたうえで、こう指摘した。

「とはいえこの価値観は、同時に他の銀メダリスト、銅メダリストを侮辱することになることに気付けないから言える事。柔道を引退してしばらく経ったら気づきました」

   テレビのトーク番組でも、銅メダルでも謝罪する日本の柔道選手が話題になっている。

篠原信一さん「『おめでとう』とは言えない」

   フジテレビ系のトークバラエティ番組「バイキング」では、8月9日の放送で、ジャーナリストの木村太郎さん(78)が選手の謝罪について「もう止めましょうよ」とコメントしていると紹介した。その理由は、「日本は柔道大国ではない。開催国ブラジルは日本の10倍競技人口がいる」ことを挙げた。

   一方、シドニー五輪の柔道男子銀メダリストの篠原信一さん(43)は番組出演で、「皆さんは、立派な銅メダルですから、『おめでとうございます』と声をかけてやればいいと思う」としながらも、こう複雑な思いを代弁した。

「私からすると、選手たちは4年間、もしくは8年間、オリンピックの金メダル目指して頑張っている姿を見てるわけなんですね。選手たちは、金メダルを獲るために頑張ってるんですよ。そういう姿を見ていた選手に対して、負けて銅メダル獲ったからといって、『おめでとうございます』とは言えません。『お疲れさまでした』『お疲れさん』とは言えても、おめでとうとは言えないです」

   選手が銅メダルで謝罪することについて、全日本柔道連盟は10日、リオ五輪が始まってから、そのことに対する意見も含めて、電話やメールなどで多数の意見が来ていることをJ-CASTニュースの取材に明かした。

   選手の謝罪についてどう考えるかについては、「まだ競技期間中ですので、組織として選手を指導したとか、会議を開いたといった話は聞いていません」と答えた。

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