スマートフォンの販売方法をめぐり、公正取引委員会が独占禁止法に違反する恐れがあるとして、大手携帯会社に是正を求めたことが波紋を広げている。スマホをめぐっては、数万円から10万円前後の端末代金を通信料金から大幅に値引きし、「実質ゼロ円」で販売する業界のビジネスモデルがこれまで問題となってきた。公取委はスマホの通信契約と端末販売を分離するよう求めており、これまで総務省が大手携帯会社に行ってきた指導よりも、さらに踏み込む内容となった。
スマホについては、これまで所管官庁の総務省が電気通信事業法に基づく指導を行ってきた。今(2016)年4月には「実質ゼロ円」の見直しを求めるガイドラインの運用を開始し、NTTドコモとソフトバンクに「(実質ゼロ円の)行き過ぎた値引きが行われている」として、適正化を求める行政指導を行った。
「通信契約と端末販売の分離」を要求
当時、KDDI(au)はガイドラインに基づき、スマホの端末代金として1万円程度をユーザーから受け取っていたため、問題とならなかった。この結果、ドコモとソフトバンクも4月下旬以降、通信料金からの値引きを減らし、端末代金として1万円程度を受け取ることになった。
数万円以上するスマホを1万円程度で販売することは「値引き」には変わらないが、総務省はユーザーがそれなりの金額を負担するようになったことから、「実質ゼロ円問題はおおむね是正された」と判断。その後、この問題はマスコミの話題にほとんど上らなくなっていた。
そこに降ってわいたのが公取委だ。今回、「大手携帯各社がスマホ端末の割賦契約の総額を機種ごとに固定し、販売代理店の販売価格を拘束することは独占禁止法に違反する可能性がある」と指摘。スマホの端末代金を通信料金から割り引く販売方法についても「端末価格を通信料金から大幅に割り引くといった販売方法の見直しが望ましい」と述べ、「通信契約と端末販売の分離」を求めた。
公取委がスマホの具体的な販売方法などを列挙し、独禁法の観点から大手携帯会社に是正を求めるのは異例だ。