ペニスの先端に超小型カメラを装着して観察すると...
(1)紀元前4世紀、哲学者アリストテレスは「オーガズム中に子宮頸部が収縮し、精液を吸い寄せて受胎を助ける」と書いた(いわゆる『精液吸引説』の始まり)。「精液吸引説」は21世紀まで続き、2009年、進化生物学者ロビン・ベイカーが、著書『精子戦争』の中で「女性のオーガズムは、受精したい男とセックスする時は精子を取り込み、逆に受精したくない男の精子は体外に吐き出すフィルターの役目を果たす」と発表した。ベイカーは実際にペニスの先端に超小型カメラを装着、子宮頸部がリズミカルに動いて射精された精液を吸いこむところを確認したという。
(2)一方、1994年に米のインターネットテレビ局が性のドキュメント番組で、性交中の女性の膣内に光ファイバーカメラを挿入して撮影した。オーガズムに達した途端、膣内の骨盤筋肉群が収縮、精液が移動する光景が公開されたが、「精液吸引」があったかどうか確認できず、賛否両論が巻き起こった。別のエックス線によるオーガズムシーン撮影研究でも否定的な結果が出ている。
(3)1967年、米の進化生物学者デズモンド・モリスが著書『裸のサル』の中で、「女性のオーガズムは、乱婚や一夫多妻の他の霊長類と違って、人類が一夫一妻制になる過程で、男性パートナーとの肉体的な絆を深めるために進化した」という新説を発表した。女性がオーガズムを得るためには「濃厚な性交」をしなくてはならない。そのことが男女の絆を強めると同時に、女性が、他の霊長類のメスのように力が強いだけのオスを選択せずに、優しさや忍耐力、気配り、知性といった特質を持つ男性を選ぶように進化したというのだ。