イチローが成し遂げた 「プロ野球の父」の思いと「3000安打」

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自己管理が行き届いていた証拠

   かつて大リーガーは第2次世界大戦に従軍した。そのため、その記録に届かなかった選手もいた。

   日本でも知られる最後の4割打者、レッドソックスのテッド・ウィリアムスは1943年から3年間も兵役に就いた。25歳からの全盛期で、シーズン180安打は確実のときだった。通算2654安打に終わった。

   ウィリアムスのライバルで56試合連続安打の不滅の記録を持つヤンキースのジョー・ディマジオも同じときに戦地に出た。30歳前後の円熟期だっただけに惜しまれる。カカトの故障もあって通算2214安打だったけれども、兵役がなければ到達した可能性があった。

   ちなみにベーブ・ルースは2873安打、三冠王のルー・ゲーリッグは2721安打、同じくミッキー・マントルは2415安打で終わった。ゲーリッグはALS(筋萎縮性側索硬化症)に襲われ、マントルは足の故障が響いた。

   イチローの大リーグ生活を振り返ってみると、故障がなかった。自己管理が行き届いていた証拠である。マーリンズに移籍したとき、レギュラー候補でなかった。にもかかわらずコンディションを常に保っていたことは素晴らしいとしか言いようがない。

   まさに「無事之名馬」

   3000安打を記録したことで、クーパーズタウンの野球殿堂入りは間違いないだろう。日本の殿堂入りも確実である。資格はユニホームを脱いで5年経たときで、日米同時もありうる。

   こんなイチローだが、実は一度もワールドシリーズに出場していない。大リーガーの最大の目標は、ワールドシリーズでのプレーである。日本のファンはその代名詞であるオータム・クラシックでの姿を見たいところだ。

(敬称略 スポーツジャーナリスト・菅谷 齊)

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