マーリンズのイチローが2016年8月7日(現地時間)、大リーグ30人目の3000安打を記録した。日本選手としては初の快挙で、日米の殿堂入りは確実となった。
イチローが快挙を達成したとき、こんな言葉を思い出した。
「大リーグに追いつき、追い越せ」
これは巨人軍の創設者でプロ野球の父といわれる正力松太郎が語ったものである。
観客はスタンディングオベーション
日本で大リーグの数字を追い抜いた選手は、いる。王貞治の本塁打、福本豊の盗塁、衣笠祥雄の連続試合出場などだ。もちろん彼らの記録は偉大で、大リーグでもよく知られている。
けれども、大リーグの中で記録を作ったイチローは、正力の思いをついに成し遂げたといっていい。
大リーグの3000安打は、とてつもない出来事である。なにしろイチローまでたった29人しかいなかった。達成者は「3000本クラブ」と呼ばれ、打者にとって夢となっている。
イチローは記録まであと2本と迫ってから10打席打てなかった。
「苦しかった」
その間の気持ちを素直に吐露した。毎シーズン200安打を打ちまくった男が初めて味わったプレッシャーだったのだろう。
記念の一打は右越えの3塁打で、持ち味である俊足も併せて示した。観客はスタンディングオベーション、グラウンドでは両軍選手が拍手を持って祝福した。
この3000安打は平和な時代に作った打者がほとんどである。