天皇陛下の「お気持ち」全文

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   天皇陛下は2016年8月8日15時、自らの「お気持ち」をビデオメッセージで表明した。宮内庁ホームページに公開された、天皇陛下のお言葉全文は以下のとおり。

  • 天皇陛下の「お気持ち」全文 画像は14年12月の資料写真(写真:ロイター/アフロ)
    天皇陛下の「お気持ち」全文 画像は14年12月の資料写真(写真:ロイター/アフロ)
  • 天皇陛下の「お気持ち」全文 画像は14年12月の資料写真(写真:ロイター/アフロ)

天皇もまた高齢となった場合、どのような在り方が望ましいか

   戦後70年という大きな節目を過ぎ、2年後には、平成30年を迎えます。

   私も80を越え、体力の面などから様々な制約を覚えることもあり、ここ数年、天皇としての自らの歩みを振り返るとともに、この先の自分の在り方や務めにつき、思いを致すようになりました。

   本日は、社会の高齢化が進む中、天皇もまた高齢となった場合、どのような在り方が望ましいか、天皇という立場上、現行の皇室制度に具体的に触れることは控えながら、私が個人として、これまでに考えて来たことを話したいと思います。

   即位以来、私は国事行為を行うと共に、日本国憲法下で象徴と位置づけられた天皇の望ましい在り方を、日々模索しつつ過ごして来ました。伝統の継承者として、これを守り続ける責任に深く思いを致し、更に日々新たになる日本と世界の中にあって、日本の皇室が、いかに伝統を現代に生かし、いきいきとして社会に内在し、人々の期待に応えていくかを考えつつ、今日に至っています。

   そのような中、何年か前のことになりますが、2度の外科手術を受け、加えて高齢による体力の低下を覚えるようになった頃から、これから先、従来のように重い務めを果たすことが困難になった場合、どのように身を処していくことが、国にとり、国民にとり、また、私のあとを歩む皇族にとり良いことであるかにつき、考えるようになりました。既に80を越え、幸いに健康であるとは申せ、次第に進む身体の衰えを考慮する時、これまでのように、全身全霊をもって象徴の務めを果たしていくことが、難しくなるのではないかと案じています。

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