米ヤフー幹部はヤフージャパン株売却に含み
経営面で日米のヤフーは「親子逆転」といわれるように、米ヤフーが最終赤字なのに対して、ヤフージャパンは黒字経営が続く。調査会社ニールセンによると、2015年の日本のパソコン利用者数でヤフーは業界首位、スマートフォンでも2位で、米ヤフーの凋落ぶりとは対照的だ。「日本のユーザーはニュースから天気、株価まで一覧できるヤフーのポータルサイトに慣れている」(業界関係者)とされ、日本ではヤフーのサービスをパソコンからスマホにスムーズに移行させることができた。
しかし、今後の米ヤフーの経営方針しだいでは、保有するヤフージャパン株を売却する可能性が指摘されている。これまで市場では、「ソフトバンクグループがヤフージャパン株を買い増すのではないか」とささやかれてきたが、英国の大手半導体設計会社ARMホールディングスを約240億ポンド(約3.3兆円)で買収する、と発表したソフトバンクグループに資金的な余力はないとみられている。
ソフトバンクグループにとって、ヤフージャパンは稼ぎ頭のひとつ。ベライゾンへの売却発表後の電話会見で、米ヤフー幹部はヤフージャパン株売却含みを残した。もし、米ヤフーがヤフージャパン株を売却した場合、第三者が株式の公開買いつけ(TOB)などを仕掛け、ヤフージャパン株の過半を取得する可能性もある。それが、ソフトバンクグループが最も恐れる事態に違いない。いずれにせよ、少しでも立ち止まれば取り残され、身売りさえ与儀なくされるネットの世界。「ヤフージャパンの事業がマンネリ化しないよう、常に挑戦し続けなければいけない」と語るヤフージャパン取締役でもある孫正義・ソフトバンクグループ社長の次の一手に注目が集まる。