米インターネット大手ヤフーの中核事業が、米通信大手ベライゾン・コミュニケーションズにより買収されることになった。ヤフージャパン(日本名「ヤフー株式会社」)は資本、技術面を含め、関係は意外に遠ざかってきていて、直ちに事業への影響はないとされるが、米ヤフーが保有する35.5%のヤフージャパン株の行方によっては波乱もありそうだ。
米ヤフーは1994年に創業、1995年設立で、検索エンジンを軸に多様な情報を束ねる「ポータルサイト」の草分け。電子メールやニュース配信などに手を広げ、一時代を築いた。しかし、米国では後発のグーグルやフェイスブックがネットの枠にとどまらず、さまざまな事業に手を広げるのとは対照的に、斬新なサービスが打ち出せない米ヤフーの業績はじり貧になっていて、存在感は薄れる一方だ。
ソフトバンク関係者「経営戦略には当面、影響はない」
2016年7月の買収発表などによると、米ヤフーの中核事業でベライゾンに売却されるのは、ニュースやメール、ネット広告など。ベライゾンは買い取ったヤフーのブランド力を活用し、昨(2015)年買収した米ネット大手AOLとネット分野で相乗効果を狙う。ヤフージャパンが支払っている年間100億円程度とされるライセンス料は、ベライゾンに支払われることになる。
米ヤフーは社名を変更し、投資会社として生き残りを図るという。問題はヤフージャパンにおける米ヤフーのウェートだ。ヤフージャパンは、ソフトバンクグループが発行済み株式の36.4%、SBBM(同グループの子会社)が6.6%、計43%を握る筆頭株主だ。米ヤフーは35.5%を保有する第2位株主となっている。米ヤフーの事業売却をめぐっては、米ベライゾンがヤフージャパンの保有株式も合わせて取得するとの米紙報道もあったが、今回はアリババ株とともに米ヤフーが保有を続けることになり、ソフトバンク関係者は「経営戦略には当面、影響はない」と話している。