米大リーグ、マーリンズのイチロー外野手が2016年8月8日、メジャー通算3000安打という偉大な記録をついに達成した。大リーグ30人目、40代の選手として11人目。
ここ数年は往年の安打製造機ぶりが影をひそめて限界説もささやかれていたイチローだが、一部にあった「今季中は無理」との予想を覆す記録達成で、本人が明言している「50歳まで現役」の本気度を示した。
サイバーメトリクスで測れない
7日(日本時間8日)、イチローはロッキーズ戦で6番・中堅で出場。7回にあわや本塁打かと思われる大飛球の3塁打を放ち、3000本安打を達成した。
イチローは今季、メジャー16年目、日米通算プロ生活25年目、メジャー最年長(42歳)の野手としてシーズンを迎えた。ヤンキースからマーリンズに移籍して1年目の昨季は、4番手の外野手としてすごし153試合に出場、91安打したものの打率はキャリアで最低の.229に終わり、昨季終了時点で、あと「65」となっていた3000安打は年齢や各種データなどから16年の実現は無理との見方が大方だった。
米紙ワシントン・ポストは当初、さまざまな観点から今季のイチローの成績を、よくて173打席で43安打と予想し「3000安打」に届かないとみていた。ところがいざ開幕するとイチローは、いわゆるサイバーメトリクスによる予想をことごとく覆す快進撃。同紙は6月16日付(電子版)で「イチローは開幕前予想が誤りだったことを証明」と題する記事を掲載し活躍を称賛した。
同記事が紹介した同日現在のイチローの今季記録によると、三振率「5%」はキャリアを通じても最も低い数字。過去3季は10%以上だった。しかも見逃し三振はほとんどないという。また四球率は9.3%と、メジャー2年目の02年に近い高率。これら三振と四球をめぐる数字からボールがよく見えているといえるだろう。
打者は年齢を重ねると動体視力が落ち速球をとらえられなくなる傾向にあるが、今季のイチローにはそれがみられないという。相手投手が決め球に、いわゆるフォーシームのストレートを投じた46打席で20安打を放ち打率は.435。また落ちる変化のボールにも強く、それらが決め球だった28打席で11安打し打率は.393。
また日本でも「ご意見番」の野球評論家、張本勲氏は16年3月13日のTBS系「サンデーモーニング」で「65本は難しいね」とコメント。その理由として「(外野手の)4番手だから」と述べ、試合に出られれば、の条件付きで「達成できる」としていた。