南米3か国でライセンスを秋以降に供与
ソニー時代のパソコン事業で、パソコンの年間販売台数のピークは2011年3月期の約870万台。これがソニー時代のリストラによって生産規模を縮小。調査会社のIDCジャパンによると、会社「VAIO」による2015年の国内出荷は約19万台で海外向けはほとんどない。つまり、ソニー時代のピークに比べて販売台数が約40分の1の水準に落ち込んでいる。国内シェアも2%弱と首位のNECレノボ連合(約26%)ははるか遠い。
こうした中でVAIOは、消費者の手にとられやすい廉価な数万円のタイプを他社と同じようにコストを削って生産販売する「耐久戦」に参加しても生き残れないと判断。利益率の高い10万円以上する高性能な機種に特化し、攻勢をかける。少ない社員数を逆手にとって製品の開発、生産から販売まで1人の責任者が担当する体制をとることで、製品ごとにコスト意識を持つことを徹底させた。海外についてはアルゼンチン、チリ、ウルグアイの南米3か国でライセンスを今年9月以降に供与する。昨15年9月に始めたブラジルでのライセンス事業が好調なため、周辺国に拡大するものだ。現地メーカーがVAIOブランドのパソコンを製造・販売し、VAIOがライセンス料を得るビジネスで、VAIOブランドというソニー時代からの遺産を生かす。
VAIOは企業再生の経験もある大手商社、旧ニチメン出身の大田義実社長が約240人の社員を率いる。少数精鋭で再び存在感を高められるか。パソコン自体の需要は減少が続いているだけに、新事業育成を含め、大田社長の手腕が問われる局面が続きそうだ。