夏休みは子どもに思わぬ事故が起こるものだが、水筒を首からぶら下げていた男児が転んだ途端、水筒がお腹に当たりすい臓が破裂する事故が起こった。
2016年7月、日本小児科学会が夏休みに向けホームページ上で事故の詳細を報告し、注意を促している。
子どものお腹は無防備で危険がいっぱい
この事故では同学会のウェブサイト「傷害速報」に掲載されている。傷害速報とは、子どもが玩具を飲みこんで窒息死したり、自転車用ヘルメットのひもが首に引っかかり窒息死したりする事故などが起こるたびに、注意を喚起するため、事故の詳細な内容を報告するものだ。
水筒ですい臓が破裂する事故があったのは、2015年6月5日、7歳の男児が小学校に登校した時。男児は首から水筒を下げていたが、校庭を急いで走った際、つまずいて転んだ。地面とお腹の間に水筒がはさまり、お腹を強打した。蓋側が下(地面側)になり、底の部分がお腹にめり込む形になった。嘔(おう)吐が続いて苦しんだめ、専門病院に搬送した。
すい臓の破裂が疑われ、開腹手術をすると、すい臓だけでなく脾臓まで破裂していた。1か月半の入院期間中、3回も緊急手術を行なうほどの重症だったが、7月18日に無事退院した。
同学会では、次の3つの点で子どものお腹が弱いため、水筒などをぶら下げる時は、斜め掛けにしてあげるなど、注意してほしいと呼びかけている。
(1)子どもは成人に比べ、お腹の部分が狭く、外部の力が集中的に加わりやすい。
(2)お腹の部分の内臓が、成人に比べて相対的に大きく、しかも肋骨で保護されていない。
(3)内臓脂肪が少なく、腹筋が発達していないので、外力の衝撃に耐えられない。