「法テラスのルール知らなかった」で済まされる問題なのか――。人気番組「行列のできる法律相談所」(日本テレビ系)の出演で知られる大渕愛子弁護士をめぐる「懲戒処分騒動」が波紋を広げている。
大渕弁護士は処分を受けて開いた会見で、依頼人から着手金を不当に受け取った上で、5か月にわたり返金を拒否したことについて「返還義務がないと思った」「認識不足だった」などと釈明。こうした説明を巡っては、番組で共演する弁護士からも「当然知っているべきルール」「知らないというのは理解できない」と厳しい声が飛んでいる。
処分に「異議を申し立てる」可能性も
大渕弁護士が懲戒処分を受けたのは、依頼者との「金銭トラブル」が原因だ。その発端は、法テラスの援助制度を利用していた依頼者から、制度上禁じられている追加額を受けとったことにある。
依頼人の女性は2011年6月に追加額の返金を求めたが、大渕氏はこれを拒否。7月には法テラスの担当者も「返還義務がある」などと説明したが、それに応じず返金を拒み続けた。その後、東京弁護士会の内田成宣副会長(当時)の要請を受け、ようやく全額を返金した。
こうしたトラブルをめぐり、女性は14年10月になって東京弁護士会に懲戒請求。弁護士会は16年8月2日付で「弁護士の品位を失う非行にあたる」として、大渕弁護士を業務停止1か月の懲戒処分とした。
大渕弁護士は同日夜に開いた記者会見で、今回の処分について謝罪。「私の認識不足が全て。法テラスのルールについて認識していなかった」として、「返還義務がないと思っていた」などと釈明した。
また、「これは決して言い訳にはならないですが」と前置きした上で、
「(主に中国関係の仕事をしていたので)それまで国内の事件を取り扱ったことがなかった。国内での事件について教えてくれるボスや先輩もいなかったので、(弁護活動は)手探りでやっていた」
として、独立したばかりだったという当時の状況について説明。故意ではなく、あくまで「認識不足」によるトラブルだったと強調した。
また、所属芸能事務所の顧問弁護士である橋下徹氏から「(今回の処分は)不当に重い」などと言われたとして、弁護士会へ異議を申し立てる可能性にも言及した。